好きって言えない彼女じゃダメですか?

好きって言えない彼女じゃダメですか? 帆影さんはライトノベルを合理的に読みすぎる (角川スニーカー文庫)

 

 
 

 「恋人同士、ですか? よく解りませんが、それでよければ」
 僕の彼女、帆影歩は少し変わっている。無口で無表情が基本な上に「人=哺乳類=おっぱい大好き」と、平然とトンデモ理論を語ってくる。さらに僕の足の甲を愛撫してきたり、入浴中の裸の画像を送ってきたり――って帆影?当初は清純派文学少女だったよね!? おかげでなぜか妹の映が心配?してきて、言葉責めに合うようになったのですが!?(妹よ、お前は何なんだ)
そんな帆影も“普通彼女”を目指してはいるらしく、参考にしているのは……ら、ラノベらしい?(なんか期待しちゃう)

 

ラストの追い込みがずるい!超きゅんきゅんさせられた!

 

● 

ガンガン変化球投げてくるからトリッキーなピッチャーだと思ったら、実は速球が一番得意だった、みたいなラブコメだった…。

割と中盤まで「あ、これは屁理屈というか論理飛躍ギャグモノなのね」とそれはそれで楽しんで読んでたんだけど、終盤から一気にぴゅあっぴゅあなラブコメで見事に意表を突かれましたわ…。

確かに片鱗はあった…!こいつ実は速球勝負の方が強いのでは…?と疑問に思ったけど、想定以上の剛速球(ラブコメ)をここぞ!というとこまで我慢しているとは思わなかった…!

 

とにかく、ヒロインの帆影さんがメッチャ変わってるけど不思議な魅力が素晴らしかった…。

 

ヒロインもさることながら、何だかんだ主人公もヤレヤレ系を臭わせつつも等身大の少年らしいさがあって好感持てた。

夢中になれるもの、真剣になれるものを友達が次々に見つけていって孤立感を感じてしまう、みたいな独白が特に青臭くて好き。変に捻って無くても等身大の悩みを抱えてる主人公には惹かれるなぁ。何だかんだ面倒見の良いお兄ちゃん属性持ちな魅力もあったこととか、本編開始時点でヒロインと付き合ってることとか、ラノベでは意外な展開が多いのもまた魅力的。

 

とても良かった…。☆4つですわ。

「萌え」だとか「ハーレム」とかラノベの主要素をトンデモ理論で納得させようとする話は結構面白かったし、一応本題の妹とその友達のケンカとか、15,6歳の等身大の悩みといった青春臭さも楽しめた。

でも、ラストの剛速球はあったとはいえ、まだまだ帆影さんの掘り下げが見たいし、今後このカップルがどう進展していくのか気になる気になる。

っていうか、続刊が未定ってまじすか。世知辛いのじゃ…。布教せねば…!

 

 

永遠姫の嫁入り

 

永遠姫の嫁入り (美少女文庫)

永遠姫の嫁入り (美少女文庫)

 

 

「すまないね、鬼の私が嫁だなんて」

いえ、トワさまと結婚できて幸せです。

縁結びの呪が暴走して初恋の桃姫さま

と新婚生活を送ることに。

「永遠に生き、初めて愛しい人ができました」

因縁を解き、恋を結ぶ究極異類婚譚。

 

(注!)性的表現のある作品の感想です。

 

はい、久々の感想更新が美少女文庫です。

知らない人に一応説明しておきますと、美少女文庫とはフランス書院から発行されている官能小説のレーベル、簡潔に言えば官能ラノベです。

そういうのが苦手な方はスルーでお願いします。

一応あらすじも感想の内容もストレートな表現はカットしてますが、承知の上で続きをお読みください。

 

で、本題ですが流石はロリBBAを書かせたら随一の葉原鉄氏でした最高。ロリBBAノンケだった私を染め切っただけある…。

 

少し悲観的で達観した千年を超えて生きる鬼姫トワ様がすっごい魅力的。

ロリBBAにしては意外なほど親しみやすい距離感…。だけどやっぱり色々引きずってて、主人公幹春に対してもちょっと引け目というか負い目みたいなものがあるんですが、そこが主人公の魅せ処。

 

真面目かと思いきや中々の変態なのはさて置き、長寿ヒロインに対して、今まで彼女は自分よりも親密な相手がいたのではないかという嫉妬。普通の人間の寿命というひと時しか一緒に居られない葛藤。それら過去未来を全て自分で染め上げたいという欲望。そういった素のドロドロとした感情を素直に認めて、真っ向からトワ様にぶつけていく姿勢はとてもスカッとした。

そんでもってトワ様も根っこの素の部分を曝け出して幹春にぶつかり、最終的にちゃんとお互いを理解して仲良くハッピーエンドとか最高じゃないですかね?

しかもストーリーが「あれ?これ性的描写抜きにしても面白いのでは…。」と途中思うくらいしっかりしてる。

ヒロインの謎や問題点に繋がる歴史民俗の話とか普通に面白い…。

エロゲやったことないけど、こういう部分は刺さる人は刺さるのでは?

 

☆5つですわ。面白いものは面白い。

なんか官能ラノベ読むと毎回思うんですけど、下手なラノベよりも主人公に人間味があって魅力的だと思うんすよね。まぁ、美少女文庫なのでガッツリ性向描写ありますし、中にはエグイ内容だったり人によっては苦手な部分も多々あるかもしれませんが…。

性向描写があるってだけで手を出さないのは個人的に惜しいと思うんすよね…。ただ、無理に人に勧めるべきでは無いとは思います。TPO大事。

 

10周年だわ…!

ふと気付いたらブログ開設から10年経ってましたわ…!

とはいえ感想記事の量は全然無い…。

 

最初に書いた記事「聖剣の刀鍛冶#1.Knight - 晴読雨読日」を読み返す。

今と全然書き方違うし、感想つーか説明みたいでめちゃ稚拙で超悩みながら書いた感がすごい。今も当初目指したような形では書けてないし、全然感じたこと書けないやんけ!と思ってばっかりどころか全然更新しとらん!と思いますが、何だかんだ感想を書くこと自体は楽しめてるなと自己満足。

この自己満足で本の売上に一冊でも貢献出来てたら嬉しいし、良い作品に出会えたと感じてくださる方がいたら本望…!

これからもゆるりと感想書いていこうと思います。

 

ミニチュア緒花には毒がある。

 

ミニチュア緒花は毒がある。 (電撃文庫)

ミニチュア緒花は毒がある。 (電撃文庫)

 

 

【取扱注意!!】この少女の毒舌は中毒になる。
――魂込めて恋に落とせ、舌戦ラブコメ!!
とある事件で友達ゼロの俺が入部させられたのは、変人の巣窟「きょうがく部」。こんな部にいたら、さらに友達作りとは無縁になる、と焦る俺だったが――
「好きです、俺と付き合ってください」
「い、いい、いきなりなに言ってんの、会ってすぐ発情とかあんた下半身に脳みそついてるわけ――!?」
目つきも言葉も凶悪な、毒舌美少女、“ミニチュア毒花”こと毒嶋緒花と出会った瞬間、俺は雷に撃たれていた。
愛のささやきVS罵詈雑言。照れさせるか、心をへし折るか――。これは、一目惚れした毒舌少女を、全身全霊をかけて、照れさせ、恋に落とす戦いの記録である。

 

拙者、強気の女の子が恥ずかしがるの大好き侍で候

 

ヒロインの可愛い仕草は人の趣向の数ほどあれど、強気ツンツン娘が照れてるのは確実にTOPクラスだと確信している…!

メッチャ語彙豊富な毒舌で捲し立てて相手を精神的に殺すような強気娘を、その毒舌すらその娘の魅力として取り込んで愛の言葉に変えて褒め殺して照れさせろ!

とにかく強気なヒロインが照れている姿が見たい!という一点集中で殴りかかってくるこの作品。作者!わかっておるな!

 

もちろんチョロインなんかじゃなくて毎回別角度から口撃するんだけど、アンデットに毒攻撃するように、寧ろその攻撃分上乗せしてカウンターブチかます系主人公なのが良い。

お陰でマンネリすることなく、ゆっくりヒロインの防御を剥がして魅力が露呈していくのにワクワクする!

いつの間にか「あ、ワシこのヒロイン好き…!」ってなってましたわ。

というかこの一見作中一の常識主人公、きょうがく部という変人集団に入れてヤレヤレって話なのに、よくよく考えてみたら一番変態。体力お化けヒロインには全うに構ってるし、潔癖捻くれ眼鏡は体良く利用してるし。ヒロインに対する反応が変態性が滲み出ててやヴぁい。

 

とまぁ、ヒロインカワイイ!に収まらないのがこの作者。

おいおい前半のイチャコラはどこ行ったんだ…と打って変わってシリアスはしっかりシリアス。

結構な胸糞展開で一気に沈みはしますが、単発のとりあえず起承転結のために入れられるような雑シリアスではなく「克服して、前に進む」というサブテーマの通り問題の昇華と一緒にキャラの関係性が深まった感は良かった。

ただ例のキャラが加入したのは意外だったなぁ。加入するにしても、もうひと悶着あるものかと思った。

これもまた次回以降に一波乱あるのかしら。

 

ヒロインが兎に角カワイイ!のですがちゃんとお話として面白かった!

ありそうで中々無かった属性のラブコメでしたねぇ。

次巻も期待。

 

 

ワキヤくんの主役理論

 

ワキヤくんの主役理論 (MF文庫J)

ワキヤくんの主役理論 (MF文庫J)

 

 

主役男vs脇役女。同棲から始まるおかしな青春勝負

青春を最大限楽しむためのメソッド《主役理論》を掲げ、夢の一人暮らしを勝ち取った俺・我喜屋未那。隣に住む少女・友利叶も一人暮らしで、クラスメイトで、バイト先も趣味嗜好も全てが同じ……なのに俺と真逆の《脇役哲学》を掲げる、決して相容れない天敵だった! そんな叶との口喧嘩の果て、同時に部屋の壁を蹴破ってしまい、何故か同棲する羽目に。そして俺たちは、やはり同時に考えた――これは戦争だ、と。
「そのさもしい青春に嫌気が差したら、いつでも言ってくれればいいぜ?」
「そっちこそ、煩わしい人間関係に嫌気が差したら、いつでも頼ってくれていいよ」
俺の《主役理論》と叶の《脇役哲学》、どちらが正しいかこの同棲で白黒つけようか!

 

 

がーちゃん(

Galleの本棚

におすすめしていただいたけど、こりゃアタリだなぁ!

 

ストーリーラインはひとつ屋根の下系ボーイミーツガール。

高校デビューした男女が偶然同じアパートの隣の部屋(しかも壁が壊れて実質一部屋!)偶然同じクラス!偶然同じバイト!でもお互いの信条は真逆で反発!それ何てエロg…。

 

というコッテコテの設定だけど注目すべきはそこじゃないんだよなぁ…。

主人公志望のワキヤくんと脇役志望の友利さんのドッペルゲンガー漫才に終始ニヤける。

夫婦漫才とはちょっと違う…。けどなんだろう。長年の幼馴染感?言わずとも相手の考えていることがわかるし、自分の考えも相手はわかるのであろう、っていう変な信頼とそれにお互い呆れている感じ。そんでもって周りが「なんなのこいつら・・・」っていうね。

ベタっちゃあベタだけど、こういうのメッチャ好き。

 

更に言うならば、そんだけドッペルゲンガーしてるのに信条とする部分が決定的に違うからこそ、相容れないというのがまた良い。

普通だったら「こんな気が合う異性がいるなんて!」ってなるとこだけど、お互い譲れない部分で食い違っているからこその、この絶妙な距離感。いいわぁ。

 

7割方2人の世界で終わった1巻ですけど、今んとこサブヒロインの域を出ないさなかちゃんには是非とも頑張ってほしいところ。2巻表紙だし、大躍進ですよね?

つーか高校生モノなのに学校の描写が全然ないことに気が付く。

まだまだ伸びしろがあって楽しみですわ。

 

りゅうおうのおしごと!2

 

 「私はあなたを師匠だなんて呼ばないから」
竜王』九頭竜八一の前に現れた黒衣の少女は高飛車にそう言い放った。
夜叉神天衣。小学4年生。
弟子と同じ『あい』という名を持つJSの教育を将棋連盟会長より依頼された八一は密かに特訓を施す。
だがそれが弟子にバレた時――かつてない修羅場が訪れた!
「ししょう……? だれですか? その子……?」
はじめてのライバル、はじめての修羅場、そしてはじめての家出……
幼い師弟に訪れた危機を乗り越え、二人のあいを救うことができるか!?
悲しみの雨に閉ざされた少女達の心に、若き竜王の角が虹を描く!!

 

気付いたら一気に読んでいた…!

 

1巻の感想描いた直後、序盤だけちょっと読もうか、と2巻のページを捲ったと思ったら全部読んでいた…!やばいやばい。

 

読み終わった興奮そのままで感想書くなんて久しぶりなんだけど、これは仕方ない。

1巻で見せた対局の熱さ。2巻ではそれこそ大局観を見据えたような話の展開が加わって益々惹き込まれる、いや惹き摺りこまれた!

 

2巻は、「あい」を弟子にし、日々和気藹々とあいの可愛らしさとその才能に胸を膨らませていた八一。が、姉弟子の銀子の「弱くなってるわよ。あれ」の一言に強い危機感を覚える。それと同時に永世名人からある女の子を弟子にしないか、と依頼を持ちかけられる、といった内容。

新キャラの夜叉神天衣(やしゃがみ あい)がまぁた良いキャラしてるんですわ。

同じ”あい”でも、こちらは生意気盛りで実力がある分余計に鼻高々。八一に思いっきり伸びた鼻を折られても強気なのがそれはそれで愛らしい。

例によって”あい”にそのことを秘密にしていたことがバレるのは見越してたけど、予想以上の反応で大笑い。自宅で読んでて良かったー。

将棋のスタイルも”あい”が超攻撃特化だとしたら”天衣”は超受流し特化と、性格とも対比で面白い。この巻で直接のやりとりは一局だけでしたが、今後二人がどう変化していくのか、盤上盤外共にとても気になる…。

 

そんでもって対局が熱い…。

1巻の感想でも書きましたが、私、将棋に関しては一切の知識は無いんですがそれでも呼吸を忘れて読み入る程。

 

前述の”あい”対決、ラノベにおける定跡が無く、どちらが勝つか全く読めない戦いは読者のこちらも手に汗握りました…。ホント、バトルものとかスポコンものでも読んでるかのよう。

何より、投了後の「そっかぁ…そっかぁ…!」のシーン。これは言葉を失う。

本気で、真剣な勝負事だったこそ、このシーンは来るものがある…。思わず涙ぐんでしまった…。

ここがこの巻のベストですわ…と思わせておいての、八一の天衣を懸けた一局が熱いこと。挿絵のいれ方も素晴らしい。

少し前で言ってみればシリーズモノに置けるベストシーンがあったばかりなのにこの対局。燃え尽きたと思わせといての2番目の終局。

いやもう凄すぎでしょ…。と感嘆をあげてたら、さらにまさかのオチ!

序盤から仕込まれた一手がここにきて…!と腰抜かす展開。

283Pのイラスト含め、最早作者の思うツボにハマってることが快感でした。

つまりは天衣可愛すぎかっ!(ここまで書いてこの感想である)

 

1巻の時点で片鱗は感じていたつもりだったが完全に見誤っていた…。これは名シリーズだと断言せざるを得ない。

将棋を知ってるだとか知らないだとかホントに些細。そんな理由で読まないのはもったいない。

久しぶりに感想欲と布教欲があふれて仕方ない。

3巻、読みだしたらたぶん止まらないんだろうな。

 

りゅうおうのおしごと!

 

 

 


玄関を開けると、JSがいた――
「やくそくどおり、弟子にしてもらいにきました!」
16歳にして将棋界の最強タイトル保持者『竜王』となった九頭竜八一の自宅に
押しかけてきたのは、小学三年生の雛鶴あい。きゅうさい。
「え? ……弟子? え?」
「……おぼえてません?」
憶えてなかったが始まってしまったJSとの同居生活。ストレートなあいの情熱に、
八一も失いかけていた熱いモノを取り戻していく――

のうりん』の白鳥士郎最新作! 監修に関西若手棋士ユニット『西遊棋』を迎え、
最強の布陣で贈るガチ将棋押しかけ内弟子コメディ、今世紀最強の熱さでこれより対局開始!!

 

将棋のルールとか知らんしなぁ…とか言って敬遠してたのが馬鹿らしい…。面白かった。

 

将棋のルールを知っていようがいまいが関係ねぇ!とにかく熱い戦いに見せられた…!

将棋っていうと先読みだとか定跡だとか攻め手だとか、とにかく頭を使うボードゲームだし、ルール知らないと楽しめないのでは…?という危惧は杞憂でしたね。

あたかもバトルモノ、しかも殴り合いの力勝負を読んでいるかの如くの熱量に圧倒される。作者が熱い物語が書きたかったから、というだけはありますわ。

 

ストーリーとしては将棋界最強の称号『竜王』を手にしたものの、それ以降連敗の続く主人公・九頭竜八一のもとに小学三年生の舞鶴あいが弟子入り(おしかけ)しにやってきて、あいの圧倒的な才能と熱意に八一が中てられていく、といったもの。

そして何が”熱い”かというと、対局描写。

それこそ、将棋知識が無くては理解できないんじゃないかと心配になるものですが、ぶっちゃけ駒をどう動かしているかの描写はそこまで詳細じゃなく、戦っている人物に集中してます。

ですが、圧倒的な力量差で手加減なしで殺しにかかる絶望感、それでも前に進もうとする勇気、そこに本気で命を懸けて戦っている者の姿は伝わってきて、読んでるこちらも手に汗握りました。

 

と、対局の”熱さ”ばかり語ってますが、ギャグ、ラブコメパートも流石は「のうりん」の作者。こちらでも笑わせてくれますわ。

流石に「のうりん」ほどぶっ飛んではいないので、そこは一安心ですが家に女子小学生ばかり集めた将棋研究会を神話になるとか片鱗がチラホラ見えてるんですが…。

まだまだチョイ見せレベルのキャラも多いですが、あいは変にロリキャラではなく割と普通に純真な子供として愛らしいですし、八一の姉弟子の銀子も圧倒的なツン描写の合間に見えるデレが素晴らしい…。

日常編、みたいな1巻が出ても飽きなく読めそうな程の完成度。

 

いやぁ、惹き込ませてくれましたわ。これは人気出るのも納得。

将棋にもキャラにも続きが気になる面白さがあって、読了後すぐさま2巻買いに行きました。

将棋知らないし…と読まないでいるのはもったいない。

次の巻も早々に読みます。