SHI-NO 君の笑顔

SHI-NO-シノ-  君の笑顔 (富士見ミステリー文庫)

SHI-NO-シノ- 君の笑顔 (富士見ミステリー文庫)

【ストーリー】連続殺人犯を捜索していたキララ先輩たちは逆に犯人に襲撃されて、キララ先輩は何とか命は助かったが、富樫さんと高柳さんは殺されてしまった。そして『僕』と志乃ちゃんは過去から逃げるのをやめ、犯人と思われる綾瀬シンを追うことに。
しかし、そんな二人の前に張本人の綾瀬シンが現れる・・・

心に闇を持つ小学5年生の志乃ちゃんと大学生の『僕』の純愛系ミステリー、最終章。


まず、内容にネタバレは含みませんので安心して読んでください。



前巻に引き続き、『僕』と志乃ちゃんの過去にまつわる事件の解決編です。事件は犯人と思われる綾瀬シンと接触してさらに謎が深まっていきます。
そして、事件と同時に志乃ちゃんの闇の部分も明らかになっていくのですが、このシリーズが好きなだけに、どうも消化不良と言う感じがして☆5つにはできませんでした。

この巻は連続殺人事件・綾瀬シン・『僕』と志乃ちゃんの3つの大きな流れが交錯していて、それぞれが一冊の中心になるくらいのテーマなので上・下巻構成にしたとしても完全消化することは難しかったと思います。

別に不完全な終わり方と言う訳ではないんです。ただ、自分としてはちょっと終わり方が性急すぎたんじゃないかな、と思ってしまったのです。
事件はしっかり解決します。志乃ちゃんも自分の中の変化を認め、変わっていきます。
でもこの巻で「SHI-NO」が終わりだと思うと、今まで『僕』と志乃ちゃんが葛藤してきた道が、あまりにあっさりしていてなんだか腑に落ちなかったのです。

この本一冊(前巻も含めて)としてみた場合は良かったと思うんですが、シリーズの最後としてはどうだったんだろう?
でもこの物語全体の雰囲気は大好きでした。

最後に、
面白く可愛いキャラクターや、人の暗部について深く考えさせられるこの作品を生みだしてくれた上月雨音さん、東条さかなさん、この本を読むきっかけを作ってくれたSHI-NOさんに感謝。