ANGEL+DIVELOVENDER

ANGEL+DIVE (3) .LOVENDER (一迅社文庫)

ANGEL+DIVE (3) .LOVENDER (一迅社文庫)

【ストーリー】灼熱の業火に見舞われたあの事件から間もなく、心身ともに受けた痛みに葛藤しつつも、それぞれの道を歩み始める夏彦たち。―そんな中、長らく闘病中だった夏彦の姉・春の容態が、突如快復する。元々活発な彼女は積極的に闘病前の生活に戻ろうと試み、また、夏彦の友人・桜慈との間にも新たな関係を築き始め…。桜慈と真鳥姉妹が抱える不可解な過去の真相とは!?そして“エンジェルダイヴ”とは一体何なのか!?衝撃の“1990年久堯市編”完結。


ANGEL+DIVE第一章の完結編とありますが、全然完結してませんよ!?なので☆の数は一個少ないです。
しかし相変わらずすごく気になる終わり方をしてくれますね。
正直感想書こうにも、物語がものすごいところで終わっているのでまともな感想は書けません。


この巻では夏彦の姉の春の容態が回復し、桜慈との新たな関係を築いていく話が中心に進んでいきます。
でも、私的には前巻もそうでしたが、日常的な話の中に潜む非日常が不気味に感じられてしょうがなかったです。

望んでいた場所へと少しずつ歩んでいけるようになった春。やっと本当に求めていたものを見つけた桜慈。
春と桜慈の物語はこんなにも美しい恋愛模様で飾られているのに、そこへ不気味な『何か』、劇中の言葉を借りれば「運命の歪み」が侵食していくのは苦痛を感じられずにはいられませんでした。
その終わり方はまさにLOV『END』ER。

そしてその歪みの中心はやはり「エンジェルダイブ」。
その正体は読み進めていくうちに徐々に姿を表しますが、わかればわかるほど謎が深まり、物語を呑み込んでいきます。


更にわからないのが夏彦です。
前巻ですこし人間がらしくなったと思ったら今回は最初から最後まで一巻ぐらい、いや、それ以上に不気味な存在でした。
エンジェルダイブやゼクスなど謎は多くありますが、何よりも夏彦の存在が一番分かりません。どうして夏彦は一般人であるはずなのに彼の周りの運命は歪んでいるのでしょうか?

謎を多く抱えたまま、ANGEL+DIVE第一章「1990年久堯市編」は幕を閉じました。

一巻から三巻までの全体的な感想は、不気味、ですね。
真鳥姉妹の話、春と桜慈の話。それらを中心としたものは単純に感動的な話として読めます。しかし、そこに潜む暗く冷たいものが徐々に物語を呑み込んでいき、結局最後に残るのは闇一色。
これ程までに不気味な物語は読んだことがありません。
続編である「CODEX」は読まずにはいられないな〜。