読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

神のまにまに!〜カグツチ様の神芝居〜

【ストーリー】八百万の神様が人界に一斉に顕現してから二十三年。ある日、その顕現した神様達が雲隠れしてしまう事件が起きた。表立った変化はなかったものの、実際には日本の産業が確実に衰退していた。そんな中で唯一、神様に寵愛を受け続けている品部人永は、頭の上に「へっぽこ様」という可愛い神様に取り憑かれ、へっぽこ様のお陰で女の子と仲良くなれても一線を越える仲になれない人生を送っていた。そして人永の下に政府から派遣された高峰小町と言う女性が現われ、日本各地の雲隠れしてしまった神様を探し出し、説得してほしいという。小町の色気に逆らえず、仕方なしに向かった温泉街で待ち受けていたのは・・・!?


可愛い神様が大活躍の電撃文庫選考委員奨励賞受賞作品!

おぉ!!これは良い掘り出し物を見つけた!!
予想以上にこれは面白かったですね〜。設定・キャラクター・ストーリー・文章、どれもが私の好みにハマりました!


幼い頃、突然「へっぽこ様」なる神様に取り憑かれ、それ以降女の子とは仲良くなってもなかなかそれ以上の関係になれずにいた品部人永の下に神様探しをしてほしいという依頼が来る。そして向かった先で迎えてくれたのは神様らしくない可愛い女の子だった!しかし、浮かれているほど事態は楽ではなく、その町では人間と妖怪(神様族)の軋轢が厳しい現実となって表れていたのだった。可愛い神様のため、人永は人間と妖怪(神様族)との仲介に挑む!

こういったストーリになるんですが、作風は「神様のおきにいり(もふもふっ珠枝さま!)」と「いぬかみっラッキーチャンス!)」の雰囲気に近い感じですね。これらの作品が好きな人は確実に好みだと思います。人間と非人間たちとの関係は「神様のおきにいり」のように愛嬌はあるものの、芯は現実的で若干シビア。キャラクターたちのテンションや、やり取りは「いぬかみっ」のようにラブあり友情あり熱血ありですね(あんまり変態は出てきませんでしたが)。

何よりこの作品の目玉は「へっぽこ様」ですね。人永のへっぽこ様に対する扱いはぞんざいですが、とにかくその仕草がかわいい〜。
しゃべることは「じんえい〜」とか「おなかすいた〜」など、人永が女の子をナンパしたりするとぺしぺしと頭をたたいたり、がじがじと噛みついたり、動作の一つ一つが愛らしいです。緊迫した雰囲気をふっと和らげてくれます。へっぽこ様がいるかいないかでこの作風はずいぶん変わると思いますよ。
終盤に見せてくれる秘密も良かった!

人永もかなりの女の子好きで、直ぐに上司の小町さんの誘惑に負けてしまったり他にも人間らしい弱さもありますが、体を張って人間と非人間たちとの和解を求め、いろんな人を守ろうとする姿はかっこよかったです。「いぬかみっ」啓太の初期程節操無しという訳でもなく、大人らしい態度と雰囲気も持っています。この作品は八割がた女の子ですが、主人公がすごく頑張る話ですね。

他にも人使いは荒いものの、愛嬌のある上司・高峰小町、神様とは思えないほど純粋無垢で優しいカグツチさん。妖怪や神様も多く出てきますが、どの人(?)も持ち味があって物語を飾ってくれます。


キャラクターたちは陽気で面白い人ばかりですが、物語の主題である、人間とそれ以外の存在との関係はとてもシリアスでした。

疑心暗鬼で妖怪を憎む人間たち、人間と共にありたいものの、神様というプライドがそれを許さず、結局歩み寄れない神様たち。お互いを疎い、憎み合う関係を、人永は苦しみながらも解決しようとしていきます。

これは現実の人や国同士のいざこざにも当てはまるものだと思いました。互いに歩み寄ろうという意思がなければ、いずれは共に滅びてしまう。
そんな悲しい関係を変えるために、話し合い、理解していかなくてはならない。そんなことをこの物語から感じました。

最後の、河童の鱗太郎と新太郎の話には思わず泣きそうになってしまいましたよ・・・

全体的にシリアスとコメディの配分がいい感じでとれている、とてもいい作品でした。
次回がでるとしたら絶対に買いますね!