Baby Princess〈1〉

Baby Princess〈1〉 (電撃文庫)

Baby Princess〈1〉 (電撃文庫)

【ストーリー】中学三年の十二月、陽太郎は唯一の肉親である祖母を亡くした。それによって陽太郎は天涯孤独の身となり、今通っている中学最後になるであろう剣道の試合に臨んでいた。その試合で陽太郎は天使ヒカルという美少女と対戦し、負けてしまう。しかしその後、ヒカルに気に入られ、身の上を話すと自分の家に来るようにと言われ、なし崩し的に家族の一員となる。そしてその家には十九人の姉妹が待っていた!

電撃G'sマガジンで話題の作品がついに書き下ろし小説となって登場!


これまたSHI-NOさんに薦められて買ってみましたが、SHI-NOさんの予想どうり、楽しめましたね。

最初この作品はかなりあざといんではないかと疑っていたんですが、実際に読んでみると全然そんなことはなく、純粋に家族愛を描いた作品でした。
設定は確かにギャルげーっぽいですね(と言ってもやったことはないんですが)。正直十九人も用意した意味が分からなかったりしましたが、十九人と言う大人数をできる限りうまくさばいていたと思います。というか何で十九人もいるんだろ?主に出番があるのは多く見積もって6〜7人くらいだと思うんだけど・・・

ストーリーの方は思っていた以上にシリアスな内容でした。
今まで家族と言うものが祖母以外におらず、その祖母が亡くなってからの日々に孤独を感じる様子とかはかなりリアリティがあったと思います。
天涯孤独となるも変に取り乱さずに事実をそのまま受け止めているが、心のどこかでは大声をあげて泣きたがっている。ヒカルはそんな陽太郎を多くは語らずにただ抱きしめてあげるシーンとかはよかったですね〜

その後、いきなり十九人(母親を含めると二十人)の家族ができて戸惑い、家族のいる幸せを感じながらも本当に自分はここにいてもいいのか?と悩んだりと、簡単には打ち解けられないもどかしさなんかもプラスです。

登場人物の多さの割に、そういった心理描写がうまいと感じさせる文章でした。正直言えばこんなにいい文章が書けるのだから、もっとキャラを減らして一人一人を深く掘り進めてほしいとは感じましたけど、このキャラの多さをこれからどう生かすかが今後の人気の鍵になってきそうです。


とりあえず一巻は一通りのキャラクターたちの顔見せと状況の種まき要素がメインだったと思います。なのでむしろこれからが見どころになってくると思うので、気を長くしてみます。

次巻からは各キャラ一人ずつ親交を深めるとともに、学園編のスタートのようです。楽しみではありますが、そうするとなおさら登場人物が限られてくるような・・・