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”文学少女”見習いの、初戀。

感想 ファミ通文庫 ”文学少女” ミステリ シリアス 恋愛 学園 野村美月 竹岡美穂 ☆☆☆☆☆

【ストーリー】三月の終わり、中学を卒業した日坂菜乃は四月から通うことになる聖条学園の前に来ていた。その柵の向こうに見えたのは、悲しく泣く一人の男子生徒だった。そして春、菜乃は一人の上級生と会う。それは文芸部部長、井上心葉だった。彼に惹かれ、勢いで文芸部に入部するも、彼の心には”文学少女”が宿っていてまるで相手にされずに落ち込んでいた。しかし、彼女がある事件に巻き込まれ、追い詰められたとき、心葉は告げる「気づかないふりも、目をそらすことも、もうしないって誓ったんだ」

文学初心者の少女が物語に隠された真実を探す、もうひとつの”文学少女”の物語。


正直、私はこの本が出ることに期待はしていましたが、同時に不安でもありました。
これ以上物語が続いて、あの遠子先輩と心葉の切ない物語が壊れてしまうのではないかと危惧したからです。
でも、そんな心配は無駄になる新たな”文学少女”のお話でした。


私は以前までの”文学少女”は『痛み』の物語だと思っていたんです。
登場人物の誰もが心に傷を負っていて、読んでいるこちらまで痛みが伝わってくる切なく、悲しい物語。それが私の今までの”文学少女”のイメージ。

しかし”文学少女”見習いは、そんな『痛み』から立ち上がっていく『決意』の物語に感じました。


遠子先輩との別れから、もう逃げないことを誓った心葉。そこへ文学なんか全然読まない普通の女子高生の日坂菜乃がやってきて良くも悪くも、まだ何かを引きずっていた心葉を変えていく、というのが”文学少女”見習いの物語のようです。

この”文学少女”見習いは、特別な何かを持っているわけではありません。
でも何も持ってないからこそ、少女という歳特有の純粋な目で物語を見ることができ、それが新鮮に感じられました。

そういった意味では日坂菜乃はこれまでにない純粋なキャラクターで、彼女と心葉の会話も面白みがある内容でしたね。
こういった明るいキャラがでることで、この作品はがらりと印象が変わるものなんですね〜

会話や人物の心情なんかも、どちらかと言えば楽観主義な菜乃が中心となって進んでいくので全体的に明るい印象を受けました。


今までの”文学少女”特有の暗い雰囲気ではなく、暗ーい雰囲気に明るい光が射し込むといった感じなので、散々対比してますが、全く別物としても楽しめるようになっていると思います。
雰囲気崩れてないかな?と不安に思う方も多いかもしれませんが、保証します、面白いです!

見習いシリーズはもう少し続くようなので期待して待っています!