這いよれ!ニャル子さん

這いよれ! ニャル子さん (GA文庫)

這いよれ! ニャル子さん (GA文庫)

【ストーリー】八坂真尋は「何か」に追われていた。その「何か」は不気味な異形のバケモノだった。深淵の闇に包まれた住宅街には助けを求める声が虚しく響くばかり。そして追い詰められた時―「いつもニコニコあなたの隣に這い寄る混沌、ニャルラトホテプです」―銀髪碧眼の美少女がニコニコ笑顔で現われた!?彼女は、悪の組織から狙われた真尋を守るために派遣されてきたという・・・


第一回GA文庫大賞受賞作、ニャルラトホテプ改めニャル子と普通の少年八坂真尋が織りなすハイテンション混沌コメディ!



世界のクトゥルーファンに真っ向からケンカ売ってる作品だな〜これは・・・。GA文庫はこれを大賞にして大丈夫か・・・?


原作のオドロオドロしい雰囲気はまっったく無く、クトゥルー神話を元にしたと思えないほどぶっ飛んでるギャグ作品ですね。

でも面白かった!これは細かいとこ突っ込んだらダメな何も考えずに読むものだね!
設定自体が筋が通ってるんだか通ってないんだかカオスな設定になってるし、クトゥルーキャラクターはみんな頭のどっかネジがぶっ飛んでて、作品唯一の常識人・真尋があまりに哀れ・・・


やたら地球の俗文化に詳しく、すっとぼけた話し方をするボケ担当のニャルラトホテプ―通称ニャル子

「ちょ、真尋さん!『黒鋼のストライバー』のDVDボックスですよ!ストライバーのフィギュア付き限定生産の!やっべ、一個買いますわ!」


と突然宇宙の脅威から狙われることになった、悲劇のツンデレヒロイン(男なのに?でも作者も言ってるからいいか!)八坂真尋のハイテンションな漫才劇が終始続いてて、ずっと笑い転げてましたよ。
若干真尋の突っ込みとニャル子の戦闘シーンがグロイですが別に気にするほどでもありませんね!

きっとあれは墨汁か何かだ。たまたま路上に落ちていたものをニャルラトホテプが踏ん付けたか何かで破裂させたから、あそこまで返り血・・・いや、血じゃなくて返り墨汁を浴びているのだ。そうに決まっている。這い寄る混沌の背後に隠れて見えなくなっている化け物には、意識して視線を移さないようにする真尋だった。

ね!?



クトゥルーの設定自体は面白い解釈だと思うんですが、地球の存在意義があんまりですよw地球存亡の鍵を握っているのは、ほぼ日本の一部だけじゃん!
かの有名なルルイエや神話が作られた設定もまったくシリアスな展開になる予兆を見せないですね。

それと各所に散りばめられたネタの数々も一々反応してしまって大変でした、っていうかこの作者の趣味が一目瞭然でした。よっぽどガンダム好きなんですね・・・
パロディネタのなかでも「本の角で人を撲殺できそうなくらい厚みのある文庫」には大爆笑。それなんて境界線上の(自粛)。


主人公が謎の組織に狙われていて、それを護衛するためにヒロインが送られてくるという、ストーリー自体はいたって普通なんですが、そんなストーリーはぶっちゃけどうでもいいというか、とにかくキャラクターたちと設定が面白い作品でした。