オオカミさんとおつう先輩の恩返し
- 作者: 沖田雅,うなじ
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2006/12
- メディア: 文庫
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【(大まかな)ストーリー】御伽銀行の趣味恩返しなメイドのおつうさん。ある一件でその恩返しの対象が亮士くんへ向くことに!おつうさんは四六時中嬉々として亮士くんのそばに仕えるが、視線恐怖症な亮士くんにとっては心休まる時間もない!オオカミさんも、おつうさんに面倒を見られてデレデレしている(様に見える)亮士くんにちょっと嫉妬。そんなオオカミさんをみてニヤニヤのりんごさん。亮士くんの地獄(本来なら天国)の時間はいつまで続くのか…!
2巻にして一気に登場人物は増えてますが、人物の使い方というか配置が実にうまいです。
毎回童話に則した人物が登場しますが、その人物とオオカミさんたちの関わり方が自然なんですよね。新キャラにもかかわらずその立ち位置とキャラがハッキリしているので凄くすんなり馴染みます。
でも結局オオカミさんや亮士くんが良いところを持って行くんですけどねwそういった意味では新キャラは良い引き立て役になっているんでしょう。
2巻は短編四話構成になっています。
各話で新キャラが出ますが、上記のとおり、どうしても新キャラはオオカミさんやその他レギュラーメンバーの引き立て役にされてます。
おつうさんのお話にしても、おつうさんが恩返しに必死になる理由である過去話が語られるのですが、短編の中なのでどうしても背景が足りなくて安っぽい話に思えてしまうんですよね。
どうせなら一つのテーマを一冊でやってほしいところですけれど、話のテンポを考えるとちょうどいいのかな?
しかし、新キャラは引き立て役と書きましたが、実のところかなりキャラ設定がしっかりしてます。
2話の乙姫さんのお話で言えば、宇佐見さんなんかは一話の中で登場する機会は全然少ないにもかかわらず、一つの話のメインを張れるんじゃないかと思うくらい緻密にキャラが作りこまれてます。
3話の金太郎や4話の桃ちゃんにしても、チョイ役で出すにはもったいないくらい面白いキャラクターです。
しかも数行のセリフでその人物の特徴が分かるのもすごい!
ここまで個性的でバラエティに富んだキャラが多いシリーズも珍しいですね。
この作者のすごいところはまだ2巻にもかかわらず、キャラクター同士のやり取りが物凄く自然に書けているところなんですよね。
だらしない人のようにみせて、実はすごく細かく設定を考えているんじゃないかと思わせられるほど。
あとこの作者独特の地の文が面白さの秘訣でもありますね。
こういう書き方をメタというのかもしれませんが、うまい具合に作者が物語に介入しているので、メタメタした感じはないです。
むしろこの地の文がキャラクターやストーリーの面白さを最大限に引き出しているんだと思います。
例え他の作者がオオカミさんシリーズを書いたとしてもここまで面白い作品にはならなかったんじゃないかな。
基本コメディですが、熱い展開やシリアスな場面もちょうどいい塩梅に散りばめられているので飽きませんね。
未読の方がいたら是非読んで欲しい作品です。はにゃーん。