RIGHT×LIGHT 〜空っぽの手品師と半透明な飛行少女〜

秘密の右手を持つ少年と世間知らずな魔法少女が繰り広げる異色マジカルコメディ!(裏表紙あらすじより)

…マジカル…コメディ?

【ストーリー】右手で握ったモノを消すことができる高校生・遠見啓介。だが特別なことは無く、当たり障りのないように日々を送っていた。ところが空から降ってきた透明少女・アリッサに出会ったことで啓介の運命は変わる。彼女にとり憑かれることにより平凡な日々は終わり、魔術の世界に巻き込まれることになったのだった。


うん、間違ってもコメディでは無いね!

あらすじは思いっきり魔法少女ものっぽいですが、中身は全然違ぇー…。まあ、面白かったですけど。

右手で握ったものが消えるというとある幻想殺しの無差別版みたいな能力と、幽霊少女がとり憑くというちょっと混ぜすぎでね?と思わざるを得ない設定でしたが、物語自体は普通に楽しめました。

物語は
魔法の世界(大体あってると思う)から魔術の秘密を持ち逃げした人間を追って、少女アリッサは人間界にやってきたが、油断してピンチになり、精神体(幽霊みたいなもの)になることで命からがら逃げていたところを啓介と出会うというお話。

う〜ん…内容は大体あってるはずなのにどうしても王道魔法少女モノに思えてしまう…。実際のところはどシリアス魔法アクションですよ。

ストーリーはともかく、キャラの性格や行動はなかなか魅力がありましたね。
最近の押しかけヒロインは流行のツンデレを意識しているのか、すぐキレる・主人公の話聞かない・口論しだしたら止まらない、といったパターンが多すぎて食あたり気味なんですよね。口論にページが割かれすぎてテンポが悪くて悪くて…。何でもツンデレにすりゃいいんじゃねぇんだヨ。

それに引き換え、この作品は最近にしては珍しくテンポのいい会話ができていました。
ヒロイン・アリッサはちょっと高慢ではありますが、話はちゃんと聞きますし、わがまま言いません。かといって魅力がないというわけでもなく、気兼ねなく話せる幼馴染みないなキャラです。
ちょっとセリフを抜粋

「おい、人が来るぞ、それに魔術使って大丈夫なのか?」
「―仮面のことを言ってるなら平気よ。言ったでしょ。あれは解呪されたって。それより、お礼ぐらい言ったらどうなの?」
「ご、ごめん…ありがと」
「うん。どういたしまして」

ちょっと説明くさいところはありますが、こんな感じでスムーズに進むので読みやすいです。

安直に主人公に惚れたりする人物もいませんし、というか、ラブ分少なめでした。
でも長期シリーズを狙うならちょうどいいペースだと思いますよ。
まぁ、2巻からは少しラブが入る予感がしますけどね。

あと主人公を取り巻く友達も、バカっぽさや、苛め・悪ノリ・それを見て見ぬふりをするなどの醜さが等身大の高校生らしくてよかったです。
あまりに暗い雰囲気にするのも良くはありませんが、このくらいの適度な暗さは物語を引き締めてくれるんですよね。


魔法戦闘に関しては正直これといって飛び抜けた魅力は感じませんでしたが、設定にこだわり過ぎてしまうよりは普通にオーソドックスな魔法でいいんじゃないかな?
何やら「魔術」と「魔法」の違いに関して色々設定はありましたが、そこはスルーしてもいいと思います。


所々ありがちだな〜と思う場面もありましたが、今のご時世そんなこと言い出したらキリがないのでそこらへん割り切ってしまえば十分楽しめると思います。
突出した特徴はありませんでしたが、安定して楽しめる作品だと思うので続けて読んでいきます。