無限のリンケージ ―デュアルナイト―

【ストーリー】人類が地球を脱し、宇宙に勢力圏を構築して六百年。戦争をするよりも新たな惑星を開拓した方が簡単という平和な時代。そんな平和な世だからこそ決闘競技Battle of Triple RingBTR)と呼ばれる、三つの特殊なリングを使用した血なまぐさいスポーツが人気を得ていた。そんなBTRの中でも自らのスタイルを通す戦士・ロバートに密かに惹かれている少女・サクヤ、彼女はロバートのバックアップスタッフの一員で、どうにかしてロバートとの中を縮めようと奮闘しているが、中々思うようにいかない日々が続いていた。そんな中、ロバートのトップリーグへの昇格をかけた戦いが近づいていた…。


銀河連邦とか未来といった単語が出ると、どうも戦争ばっかり思いつく中で、この発想は中々面白かったですね。

有り余る資源があることで、国同士で戦争をする必要がなくなった時代だからこそ戦闘欲求の代替行為として血なまぐさいスポーツが流行するという設定は今までにない着目点でした。


この作品のメインである、
BTRというのは<リング>という特殊な力場を発生させる武装を三つ用いて、射撃や打(斬)撃、シールドによる防御、飛行などを駆使して戦うスポーツなんですが、普通に死傷者が出たりする危険なものです。

このリングという武装の設定がかなり作りこまれていまして、設定マニアな人にも十分楽しめるようになってますね。
一番近いイメージだと、「レギオス」の錬金鋼(ダイト)に近い感じでしょうか?錬金鋼に「頸」を取り除いて、純粋な科学の武装にしたようなイメージですね。

残念な部分が、戦闘シーン自体は現在数あるラノベの中から見れば突出しているものはなかったところですね。
せっかくの超科学技術なのに従来の剣や銃を使った戦闘のようで、イマイチ見栄えしなかったかな。
続きがあるとしたら今度はそのあたりをもっと掘り下げてほしいですね。


そのかわり人間関係は魅力たっぷりでした。

特にバックアップスタッフのメカニック担当であるサクヤなんかはすごく可愛かった!
ロバートが冷静な大人の女性が好みだと聞き、本来の粗暴な性格を隠してクールなフリをする場面なんかが特によかったですね〜。クールになろうとするのにロバートの紳士的な行動に一々反応してしまってクールになりきれない姿なんかずっとニヤニヤしてましたよ。
クールデレ好きの私からしてみると厳密にいえば彼女はクールデレではないかな〜、と思いましたがそれでも納得のいく可愛さでした。

そしてサクヤにベタ惚れされているロバートに関してはちょっと不満が。
彼の紳士っぷりはいいんですが、どうも「役」を演じているみたいで掴みどころがなかったな〜と。
宿敵とも言える相手に対する憎しみとかも役者がかった反応に見えてしまってどうしても生身の人間に思えなかった。
サクヤ視点なので彼の心情がわからないのはしょうがないんですが、ヒーローのポジションにいる割に彼自身に魅力が足りなかったな。


ストーリー的には合間合間に何故かある中世の話がずっと気になっていましたが、途中からオチが見えてきてあーなるほどねー、と感心しました。
最初は別々の物語のようで、段々中世騎士話が現在の話にリンクしてくる構成はうまいなーと思いました。



途中までは結構楽しめていたんですが、最後にまたちょっと不満点が。
ここに関してはネタバレっぽいのではっきり書けませんが、宿敵との戦いとその後始末の終わり方がちょっと納得いかなかったな。

そこが一番引っ掛かってどうもすっきりしなかった点ですね。


☆3つでしたが、全体的に見ればなかなか面白かったのでこれからの展開に期待します。

感想リンク
彼誰と黄昏を彷徨い揺蕩うもの