断章のグリム(3)&(4) 人魚姫(上)&(下)

【ストーリー】蒼衣と雪乃、そして神狩屋の三人は電車に乗ってとある町へ向かっていた。神狩屋たちとは別の<ロッジ>への応援のためだ。始めは簡単な調査程度だと思って楽観していた蒼衣だが、またしても<グランギニョルの索引ひき>の予言がなされ、一同に不安が走る。そして向かった町で、神狩屋は因縁の少女に出会う。

神狩屋の過去が明かされる、悪夢幻想新奇譚、第三幕。


段々とこの人の作風に慣れてきた感じのする三・四巻です。でも相変わらずグロいので注意!

今回は珍しく他の地域の<ロッジ>へ蒼衣と雪乃、神狩屋が応援という形で向かいます。上・下巻構成なだけにちょっとスロースタートでしたが、蒼衣と雪乃のやりとりが見れたので逆によかったですね。


全然関係ない話になりますが、

実は雪乃はかなり可愛いんじゃないでしょうか?メインテーマが恋愛モノだったら相当ファンがつきそうなくらい。え?気づくの遅い?

普段めっちゃクールぶってるけど何気に赤面症だし、結構素の表情が出やすいしね〜。これでつんけんした態度がなくなったら一気にシリーズの雰囲気変わりそう…w
蒼衣もめっちゃ鈍そうなとことかラブコメの主人公っぽいし、もし『学園キノ』みたいに番外編が出るとしたら絶対買いますよ!


まあ、この二人は正直今回のお話でははっきり言って部外者です。今回の中心人物となるのはあの神狩屋さんですからね。
三人の向かった町で神狩屋はかつて自分の婚約者だった人の妹・海部野千恵に出会い、元婚約者の七回忌ということもあり、彼女の家に行くのですが、そこは<悪夢の泡禍>の気配が満ち溢れていたのだった。
こうして今回の悪夢は始まります。



今回は神狩屋さんが話の中心ということもあってこれまでとは一味ちがった雰囲気になっています。
まず、<悪夢>の持ち主がハッキリしないこともあって、どう物語が進んでいくのかまったく予想できないんですよね。
しかも何やら神狩屋さんが怪しくて信頼関係にちょっとしたキズができてますし。

ただ、今回蒼衣と雪乃は部外者と書きましたが、今までにないくらい蒼衣は活躍して頑張りますし、雪乃は雪乃でいつものようにぶっきらぼうな口調の中に優しさ全開です。

三巻だけだと猛烈に四巻が読みたくなるので、読むとしたら四巻も一緒に手元に用意しておくことをお勧めします。



<お詫び>前の感想でこのシリーズに登場する人物は狂った人が少ないと書きましたが、今回ちょっと変人レベルの人が出てきます。
新キャラの千恵さんは異常なほど潔癖症ですし、4巻になるともっと狂った人が出てきます。
まだ数人とはいえ、これからどうなるか心配です…。



全体的にみると
蒼衣と雪乃の二人が頑張っているので逆に神狩屋さんの変貌が顕著に見えるのが今回の特徴ですね。特に上・下巻で語られる神狩屋さんの過去話のギャップがキツイ…

三巻での神狩屋さんの過去話はそれだけで一冊別の本が書けるくらい深く悲しくも美しい話ですが、四巻で一気に「断章のグリム」らしい話へ変わってしまって驚きました…。
ホントに作者はグロが苦手なのかよ!?



結構楽しめたと言えば楽しめたのですが、訳あって☆は3つしたね。
一つは最後に説明されても、神狩屋さんの元婚約者の志弦さんが自殺した理由がわからなかった。(単に私の読書レベルが低いということかもしれませんが)
今までの「断章のグリム」は悲しい結末の上にグロテスクでしたが、読了感はよかったんですよ。でも三・四巻は後味が悪かったな〜。

そして何よりの理由なんですが、申し訳ないのですがそれは決定的なネタバレなので続きを読むにしておきます。
別にそんなの気にしねーよ、という方はクリックしてください。

あの<悪夢>の持ち主は流石に予想できないですよ。
ちょっとあれは話の展開的にそれは無理があるな〜。ミステリものだったとしてもそれはないと思う…。

最初から彼を犯人にするつもりがあったのかな?