RIGHT×LIGHT3〜カケラの天使と囁く虚像〜

RIGHT×LIGHT 3~カケラの天使と囁く虚像~ (ガガガ文庫)

RIGHT×LIGHT 3~カケラの天使と囁く虚像~ (ガガガ文庫)

前回まで弄っていた裏表紙のあらすじでしたが、今回は普通でツッコミが入れられなかった…。少し残念。

【ストーリー】<黒血の徒>の事件から二週間がたち、冬月と陽菜とも和解し、啓介と未由は事件の時に目覚めた魔術を使いこなすために放課後、アリッサに訓練をつけてもらっていた。そんな少し変わったものの平穏な日々を送っていたが、啓介の前に再び<<群れ>>の幹部・オウルが現れた!警戒する啓介だったが、意外にもオウルは和解を求めてきた。オウルの「方舟は本当に正しいのか?」という質問に不覚にも揺らいでしまう啓介。今までアリッサを信じて戦ってきたが、方舟については何も知らなかったのだ。そして少しずつ、アリッサと啓介はすれ違い始める…



1巻の時と比べるとずいぶんラブコメ要素が多くなりましたね。
シリアスな部分も相変わらずありますけれど、日常パートではかなりラブコメしてきたな〜。
一見相性の悪そうなジャンルですが、この作品に限って言えばその切り替えがうまくできているみたい。日常と非日常の境目がすごく自然な感じで切り替わるので、全体で見たときスッキリしている印象を受けます。


3巻まで読んで気づいたんですけど、このシリーズは頭の中で映像化しやすい文章ですね。
会話文が多いうえに地の文が一人称と三人称をうまく使い分けているのでテンポよく、文章に疾走感が感じられました。
魔術の説明やらで複雑な文章になりそうな設定なところをここまで読みやすい文章にするとは…。とても3冊しか書いていない新人さんとは思えない力量ですね。


でもキャラクターの方でちょっと躓いたかな〜?
2巻で<黒血の徒>事件が解決した後、あっさり陽菜と冬月が啓介と和解したことに違和感を感じてはいたのですが、読んだ当初はまぁ、こういう展開も後味が良くなるならいいかな、と思って見逃していたんです。でも3巻に来てその違和感が大きくなりました。
冬月に関しては元々啓介とは敵対していなかったので気にはなりませんでしたが、陽菜に関してはちょっと都合良過ぎな感じ。

間違ったことをしていたとはいえ、兄(義理だったかな?)を殺した相手に対してあまりに簡単に許し過ぎじゃないかな?
理解はできても感情が許せないからこそ復讐したのだろうし、ここまで聞き分けがいいと彼女の行動理由が希薄になってしまうような…。


更には今回啓介と同じように、船の事故でアリッサに助けてもらった三澄透子という新キャラが登場するのですが、どうもにも後付け感が…。
同じように、前回登場した<<群れ>>の幹部オウルも2巻の時のいかにも悪役幹部な雰囲気から打って変ってしまい、本当に前回のあのキャラ?と疑ってしまいましたよ。
読んでいるうちに慣れますが、最初読んだ時は少々違和感が目立つように思えました。


でもそのマイナスポイントがあっても、怒涛の展開には魅了されてしまいました。
オウルの言葉によってアリッサと啓介の関係にヒビが入り、ケンカ別れしまうところなんかは特に良かったな。

何があっても啓介は自分のことを信じてくれると思っていたアリッサと、信じたいけれど信じるだけの証拠がないので信じ切れない啓介のすれ違いは、まるで恋人同士の葛藤のようで読み応えがありました。
しかもその後完璧に二人の意見が割れてしまった時も、良い意味でアリッサはアリッサらしく、啓介は啓介らしい理由でぶつかる二人の姿は、遠慮のない清々しい関係で読了感も良かったです。



多少ご都合主義なところもありましたが、それでも余るほどの魅力を感じました。
面白いストーリーと設定、読みやすい文章と魅力的なキャラクター達、ライトノベルとしてかなり完成されていますね。
次巻も期待しています。



今回友月の扱いがかなりおざなりで残念!次こそメインを!