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みんなのヒ・ミ・ツ

みんなのヒ・ミ・ツ (GA文庫)

みんなのヒ・ミ・ツ (GA文庫)

掘り出し物はっけーん!

【ストーリー】草薙和人は、悪魔リルが自分の仕掛けた誘惑にのらなかったことに腹を立て、「他人の秘密を知ってしまう能力」を与えられてしまった!しかもその能力でヒミツをしってしまった相手は校内でも人気の美女・椎名沙紀だった!秘密はバラさないといったが、沙紀は信用しようとせず、和人と付き合う振りをして監視し続けることに。和人の苦難はそれだけには止まらず、後輩の柚木のヒミツまで知ってしまい、四苦八苦な状態に!!はたして和人は悪魔の誘惑に打ち勝つことができるのか!?


この鯨晴久さんという作家さんの名前は結構耳にしていたのですが今回初めて先生の作品を読みました。
ブコメが大好きだとあとがきでも書かれていており、これは期待してもよさそうだ!と閃き、購入に至ったのです。
そしてその結果は当たりでした!

悪魔に「他人の秘密を知ってしまう」とう呪いをかけられはしましたが、それは心を読むといった超能力系の能力ではなく、因果を捻じ曲げて偶然他人の秘密を知ってしまう場面に遭遇してしまうというモノで、秘密を知ってしまうまでの流れがとても自然に感じられる展開であざとい感じがしなくてよかったですね。

展開だけでなく、周囲の人間の描写なんかはラブコメっぽくないほど自然。特にモブの女子生徒の反応とかはリアルにありそうな会話で、雰囲気に絶妙なシリアス加減が生まれていて素晴らしかったです。

王道的な展開やお約束のハプニング等も起きますがそれはあくまで味付け程度で、その部分を切り取っても十分楽しめると思います。
まぁ、実際えっちぃ雰囲気を醸し出しているのはイラストの方ですしねw


そして展開や雰囲気もさることながら、主要なキャラクターは少ないながらもしっかりしていました。

主人公の和人はクラスメイトの相沢ほのかに憧れ、ほのかの居る文芸部に所属する高校二年生。
最初から主人公がある一人の女子に好意を持っている設定は最近あまり見なくなっていたので逆に新鮮に感じられたのですが、何より「他人の秘密を知ってしまう」という呪いをかけられたにもかかわらず、絶対に誰にもバラさないどころかその秘密が皆にバレないように必死になるところが物凄く気に入りました。

「えっと…あのよ、椎名」
「う、うん」
「オレは大丈夫だから」
「…?」
「いや、だから心配しなくてもオレは誰かに言いふらしたりしないから。別に椎名に何しろとか、そんなことも言わない。オレもおまえのヒミツを守ってやるから、安心しろよ―――あ、でも、もうこんなふうに、うっかり聞かれないように、ちょっとは緊張感を持ってた方がいいかもしれないけどな」

何と言うか…セリフ全体が自然ですし、言い方が優しいんですよね。変にかっこつけてない自然な言葉だからこそ安心できる雰囲気を持っているのかな?


例によって鈍いところもありますがあくまで自然と思えるレベルに抑えられていましたし、片思いの相手に一途な部分や誘惑に屈しないと言ったものの、そういう展開に動揺してしまう思春期少年特有の反応も好感を持てました。


ヒロインたちもそれぞれ異なる魅力があってよかったですね。

和人の片思いの相手であるほのかは何だか掴みどころがない上に中盤ほとんど登場しなかったのは残念でしたが、良いタイミングで和人を励まし、おいしいところはちゃっかり頂いて重要な位置を占めていましたw

欲を言えばもう少し話に関わって欲しいところですが、1冊のバランスを見れば、続刊したときにでも登場回数が増えればいいですね。


そして椎名沙紀と柚木麻里菜の秘密を知られてしまった二人組に関しては、コメディにしては割とリアルに女子高生が持っていそうな秘密を抱えています。

「あ、あのな。きょ、今日のおまえの格好、」
「うん」
「に、」
「に?」
「におってるぞ」

二人の会話も面白いですし、色々あって和人と付き合う振りをしたり、だんだん和人を意識し始めるそぶりを見せるのでおそらく沙紀がメインヒロインの位置なんでしょうけど、私は麻里菜が結構気に入りましたね。

「ちょ、おま!それはいったい、なんだ」
「ヒミツを知られたからには、わたしはもう生きていけません。でもひとりじゃ死にません。あなたを殺して、私も死にます」
「え、ええええっ!」

弱気にみえて一度覚悟を決めると猪突猛進なとことか気に入りましたw


よくよく考えればこれは女子特有の世界では結構キツイ秘密…というより悩みですね。
確かにこんな秘密を知られたら、言うことを聞いてでもバラされたくはないかもしれません…。

そんな秘密を知ってしまった和人がとった行動は、彼女たちの立場ならありがたいものですね。まぁ、惚れても不自然ではないかな。


そして唯一残念だったのが悪魔のリルです。

彼女は本当に空気だったな〜。
和人を誘惑したりルールを破って困らせたりしていますが、全然目立ってないw
もっと濃い性格をして、物語にももっと関わってくれればもう少し見どころはできたんでしょうけどね。



最後のリルのとった行動は流石に反則技だろ、と思いましたが、それでもあきらめずに沙紀と麻里菜を守る和人はかっこよかった!

全体的にあざとくなりそうな一歩手前でずっと続いていきますが、見どころが多かったとも思います。主人公が気に入ることができれば楽しく読めるんじゃないかな〜。

おそらく2巻がでたらもっと面白くなる予感もあるので、☆4つです。