R-15 ようこそ天才学園へ!

【ストーリー】天才ばかりが集まる学校、閃学園。芥川丈途は天才(ポルノ)作家という才能で閃学園に入学したのだが、そんな才能なので入学早々女子寮のノゾキ犯の疑いをかけられてしまう。その事件を切っ掛けにクラス内で男子と女子で大きな溝ができ、そんな状況でクラス対抗オリエンテーションが開かれる。最初こそやる気のないクラスの面々だったが、ある事情から一位を目指すことに!はたして丈途の才能でクラスは一位になることができるのか!?


第十三回スニーカー大賞奨励賞受賞作家のデビュー作です。
なんか受賞作は師弟愛を描いた話だったそうですが、何が彼にこの作品を書かせるようになったのだろう…

ま、タイトルと言いあらすじと言いエロ方面でのアピールが強いですけど、男女の仲が最悪なクラスがある一人の女の子のために団結していく学園青春ものでした。



舞台となるのは各方面の天才たちを集め、自由にその才能を磨く方針を持つ学校・閃学園。
そこにはクラリネットの天才から数学の天才、プログラミングや演劇、果てはポルノ作家の天才まで集い、当然個性的な生徒たちで溢れています。

主要な人物を紹介すると

芥川丈途

中学時代にふざけて書いたポルノ小説が大ヒットし、そのままプロの作家に。しかし中学時代は周りの冷たい視線が止むことはなく、常人の常識が通用しない閃学園に入学を決意。

「――教室の扉を開け、スカートスーツを着た担任の女教師が現れた。酸いも甘いも噛みわけた三十代半ばといったところだろうか。セミロングにした艶やかな髪と整った顔を彩るひかえめで丁寧な化粧は、大人の女の色気をある意味で強烈に主張している。ブラウスから溢れんばかりの胸。スカートからのぞく豊満な太股。たった一目で男を虜にしてしまうだけの魔性とも言うべき存在感は――」
「芥川丈途くん、よね?何を言っているの?」

こんな感じで性格は職業柄(+思春期)で多少妄想が強いところもあるけれど、ある一人のために突っ走ることのできる熱い少年です。
こんな設定ですが主人公らしくなかなか肝が据わっていて、いざという時に率先して動ける良い人間ですね。

最初こそノゾキ犯として嫌われたりしますが、後々フラグメーカーとして開花していきますw
因みに彼の書いた(鼻)血に染まる原稿は「紅い聖書‐レッドバイブル‐」と呼ばれ重宝されるとか。


円修律(えんしゅう・りつ)

丈途の数少ない友達。
名前の通り計算の天才で、それに関しては右に出るものは無く、更には幅広くその計算力の応用をきかせる柔軟な発想も。

一々正確な数値に直して考える面倒な性格をしていますが、嫌われていた丈途に偏見なく接し、丈途にかかったノゾキの疑いを晴らすために手を尽くしてくれたりとかなり良心的な人物です。
因みに丈途に大切なものを奪われたり…。

「――情熱的なのも、芸術家の血ってやつか」

「丈途…僕はそんな言葉が聞きたいんじゃない。僕と大会のどっちが大切か――」

う〜ん…なかなか独占欲も強いようですね。
ある意味彼はメインヒロインなんじゃ…


鳴唐吹音(なるから・ふくね)

たぶんメインヒロイン。たぶんの理由は上記。
クラリネットに関しては天才的だが、過去のある一件により他人と何かをすることに抵抗があるよう。

態度・容姿ともに小動物系で言動もちょっと不思議ちゃんが入ってます。
彼女に関しては物語の重要なポジションにいるにもかかわらず出番がちょっと少ないかな〜。
性格の設定からして前面に出てこないのに登場する機会もそれ程見当たらなかったのが残念。
彼女も丈途に大切なものを奪われちゃう。


霧線蘭(むせん・らん)

気も態度も強い女子代表。
コンピュータ関連に関する天才で記憶力もよく、最初に丈途の書いた原稿を読んでしまい、それからなにかと丈途に強く当たるようになります。
前半部から中盤にかけてはかなり悪役なポジションなので、大抵の読者は彼女を嫌いそう…。
…まあ確かにやる事がキッツイですけど、後半はそんな部分を払拭する働きを見せてくれるので私は好きでしたけどね。ツンツンツンツンツンデレ、くらいの割合かな。

因みに百合なので丈途とはライバルの関係です。


一応主要な人物とは書きましたが、物語を動かすのはほとんど丈途・律・蘭の三人で、吹音はなんかゲストキャラっぽくてあんまり活躍しなかったな。残念。


キャラクター達の魅力はなかなかのものでしたが、ストーリーに関しては結構普通かな〜という印象ですね。

前半から後半手前までの、丈途のノゾキ疑惑解決や大会3回戦、つまり丈途・律・蘭の三人で行動している箇所は結構楽しめました。

「まったく、話の通じない女だ。僕たちだけでやった方が早いぞ、丈途」
「あんたがあたしたちの間に割りこんできたんでしょ。嫌ならあんたがやめなさいよ」
「どっちと組むかは丈途の自由だろ。はっきり言ってやれよ丈途!」
「だからあたしと丈途が組んだの!ほら、丈途も言ってやりなさい!」
 思いっきり飛び火してしまった。これはどちらを選んでも危険だ。ひとつ一般論で無難に場を収めよう。一般論なら、反論も難しいはずだ。
「よく言うだろ。近親憎――」
「「似てない!」」

お前らどんな三角関係だよw
こんな感じでクラス勝利のために「ある作戦」を行う三人(主に律と蘭)のいがみ合いながらも協力するパートが一番おもしろかったです。

…ただ、
吹音が関わっている部分がちょっと微妙でした。
クラス対抗オリエンテーションで優勝しようと思うキッカケもちょっと弱い感じがしましたし、物語最大の見せ場のはずの最後の種目もなんだかあっけなく終わって拍子ぬけしちゃったな。

彼女は良いキャラしてますが、物語を動かすにはちょっと力不足な感じがしました。


あと主人公の特徴であるポルノ小説ですが、正直この設定で無くとも十分楽しかったのでは?ストーリー的にそこまで重要な設定じゃない気が…
まぁ、程良くエロ分が加わってよかったんですけどねw
一部抜粋

 俺は女が誘ったスカートの間に膝を押しつけ、ポニーテールを引っ張って床へ張りつけた。
「くぅっ…」
「どうした?」
 聞きながら女の制服の上から胸をわしづかみ、ゆっくりと回す。その回転と同調するように苦しげで甘い吐息が漏れ、俺の耳元へ吹きかかった。
「んっ…いやっ…」

設定と途中のパートはこんなに面白いのに、決定打を打ち損じてしまったのが唯一のマイナスポイントでしたね。残念ながらその結果☆4つです。
あ〜ホントに惜しい!
次巻の発売も決まっているようなので期待して待ってます!


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わたしは趣味を生きる。