命じて!服従フロイライン2

命じて!服従フロイライン2 (ファミ通文庫)

命じて!服従フロイライン2 (ファミ通文庫)

【ストーリー】怪しげな組織から狙われ、辛くも助かった梅花(もいか)と健児。二人は再び少し変わった日常を送っていた。
ところが梅花が祭りの主役に選ばれてしまう!梅花はいつもと違う行動をする場合は健児の命令が必要な体だということがバレてしまうのでは…と心配になる健児。さらに最近何かと運が悪く、堅いことで有名な生徒会長に睨まれたり、正体不明の怪物が現れたりと大混乱!
こんな状況で祭りはうまくいくのか!?


1巻でのインパクトが強くて気に入った作品でしたが、早速のペースダウンです…


2巻は1巻と比べた時の展開の早さが段違いだったのが原因かな。
1巻の時は、前半部で幼馴染の健児と梅花の二人の関係と距離感が描かれ、中盤ではその二人の関係が徐々に変わり始める日常の描写、後半で物語が大きく動く、といったように物凄いハイペースで物語が進むんでいました。
でもハイペースの割にキャラクターの心理描写は丁寧だったし、二人の距離が徐々に縮まっていく展開は読み応えがあってよかったんです。

でも2巻ではそのハイペースが信じられないくらいのスローペース。詳しい内容は置いておいて、殆ど物語が進まないんですよ。
ゆっくりになったからといって更に描写が良くなったという訳でもなく何だか余計な部分が多かった、というのが素直な感想ですね。

新キャラが登場するのは構わないんですが、新キャラばかりにスポットが当てられたうえに彼(彼女)らの心理描写ばかりなので主役とのからみが少ないこと…。
この作者さんは多くの人物を一遍に動かすことは向いていないみたいですね。もうちょっと健児と梅花を前面に出してほしかったな。


ここまでマイナスポイントしか書いていませんが、
相変わらずこの作者さんは人物の内面描写が丁寧なので、そこはとても魅力的でした。


残念ながら主役の二人の出番は少なめでしたが、代わりに新キャラの生徒会長・纐纈絲織(こうけつしおり)が大きくピックアップされています。
この巻は彼女がメインといっていい程彼女視点での描写が多いんですけど、若干彼女のキャラがつかみ切れなかったのが残念。
設定では学校内では真面目でお堅い生徒会長でとおっているけれど、実はものすごく乙女な思考の持ち主とあります。
本来ならそのギャップが魅力なんでしょうけど、そのギャップが活かしきれていない感じでした。


何故かというと、主に彼女視点で物語が進むのでイマイチ第三者から見た「お堅い生徒会長」という描写が書けているんですよね〜。
やるんだったら徹底的に、それこそ「神様ゲーム」の桑田並にクールな描写があっても良かったんじゃないかな。
もっとこう序盤はホントにキッチキチの性格で、中盤に差し掛かったところで一気にその裏面を出してくれれば激しいギャップに身悶えられたのにな〜。良い性格をしていただけ、実に惜しい!

まあ、それでも彼女の純粋さは魅力的でしたけどね。特に彼女の過去話パートはベタな展開ではありましたが、むしろそこがイイ!
やっぱり王道っていいよね!あまりに頻繁に使われると萎えますが、適度にあると盛り上がります。



ストーリー的には
この生徒会長が大きく関わってきますけど主役二人の事件への関わり方がちょっと物足りなかったな。
生徒会長の他にもロン毛僧侶たちなどの新キャラが登場しますが、彼らの方が余程自然で深い関わりでした。

正体不明の化け物が出てくるまで健児も梅花も大きな動きはありませんでしたし、化け物が現われてからもそこまで重要な動きをしていないんですよね。

二人は梅花の体のことの方が重要で、今回の事件は起きるまで蚊帳の外という感じでした。




全体的に見ると確かに前巻に負けずとも劣らない巧みな心理描写でしたが、
ストーリーを中心的に考えると主人公たちの関わりは少ないし、盛り上がりに欠けていましたね。


終わり方もなんだかすっきりしないものでしたし、これは3巻への助走として見るべきなのでしょうか?
気に入ったシリーズですし、気を長くして待ってみることにします。