妄想少女 そんなにいっぱい脱げません!?
妄想少女 そんなにいっぱい脱げません!? (角川スニーカー文庫)
- 作者: 東亮太,ちこたむ
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2009/08/01
- メディア: 文庫
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【ストーリー】主人公の光宏は萌え系イラストを愛してはいるけれど、ちゃんと普通の女の子にも興味を持ってる高校生。
ある日学校一の美少女である北原沙衣に告白するも、見事に玉砕!双子の妹にもからかわれ、大好きなイラストレーターの新作を見て「こんな子が現実にいたらな〜」と思いながら就寝。
ところが朝起きたらそのイラストの娘が現実に現れていた!しかもその娘をみた北原さんから思わぬ事実を聞くことに――!!
本当は買わない予定だったけど今日はいいことあって気分がよかったので購入〜。
●その結果、
微妙だった…。
何だかな〜。確かに当初の予定では微妙そうだな〜と予想していたのですが、先月のR−15といい角川も本格的にラブコメに力を入れ始めたようなので予想が外れることを祈っていたのですが、見事初めの予想通りの結果に。
※本当は続きを読むにしようかと思ったのですが、批判に怯えて隠すのは礼儀に欠けると考えたので隠しません。
少しキツめに(私個人判断)書いたので、この作品を気に入った方・批判文を読みたくない方は注意を!
一言で言って、何をしたいんだかよくわからない作品でした。
エロ重視の作品はそこまでストーリー性が強くはないとは承知の上で買っているので、そこまでストーリーに期待はしていなかったのですが、これは本当にストーリー性がないですね…。
ラブコメ好きを公言している私からしてみれば、これはラブコメではありません。断言できます。
光宏は萌えイラストが好きで、歌川ミウミのイラストを見て妄想していたら本当にイラストが現実化してしまった。と、ここまでならばよくあるパターンですし全然かまわないのですが、その後の展開が壊滅的。
イラストが実体化しては→何やら怪しい人物が介入→お約束的トラブル&エロ展開→トラブル解決後はイラストの娘も消える、の繰り返しが最後まで続くのです。
同じような展開が繰り返されると飽きてしまうというのもありますが、何よりも起承転結の承あたりでストップしてしまうあたりがダメでした。物語りとして成り立っていないんですよね、この話。
だから登場人物に何かしらの変化や転機が全然訪れないので話が盛り上がらないのです。話の中盤くらいで早くもマンネリ化の傾向が…。
それ以外にも、
・徐々にヒロインの沙衣とラブ方面に発展していくのかと思ったらそんな描写が全然ない。というか全体的に描写文が少ない。
・キャラクターたちに人間性を感じない。
・イラストが実体化してしまう仕組みについて全く触れられていない。
・別に光宏でなくとも妄想が強ければ誰でも実体化させることができる。つまり光宏が主人公である必然性が無い。
・敵となる人物が何をしたいのかわからない。もし何か目的があるとしても、その目的のために動いているように見えない。
などなど。
いくらストーリーを重視していないといっても限度がありますよ!ちゃんとした設定があるのか疑問です!
いくら見た目が良くても裏地が出来ていなければボロボロです!
そもそも大前提の文章自体に魅せる力が少ないのが大問題ですね。
正直、この作品が売れたとしたらイラストレーターの力が9割だと思います。
これに似たジャンルの良い例として、風見周先生の「H+P‐ひめぱら‐」を挙げさせていただきます。
確かに、「ひめぱら」はイラストレーターの人の力も大きいと思います。
でも「ひめぱら」の魅力はイラストだけでなく、文章でしか表せない表現でしっかり読者を魅了するからこそ、例えストーリー性が弱くても楽しめるのです。
きれいなイラストも重要ではありますが、小説という形式をとっているのだから主である文章が悪いとすべて台無し。
文章を活かすイラストと合間にあるイラストが映える文章の関係があってこその「萌える」小説なのではないでしょうか?
この作品内ではそういった裏地が大切、みたいなことを言っていますが、この作品自体がその反面教師になっているような…。
同じような雰囲気を持つ作品として、「ラブ★ゆう」や「AKUMAで少女」などエロや萌え方面に特化している作品は沢山ありますが、そういう作品たちはファンタジーやミステリといったジャンルとはまた違ったベクトルの面白さを持つジャンルで、決して軽く扱っていいジャンルではありませんよね。
むしろそういう分野で読者を満足させるのは物凄く大変なことだと思います。
●総合
ダメだ。全然楽しめなかった。初めての☆1つ。残念。