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夜想譚グリモアリス3 魔女よ蜜なき天火に眠れ

【ストーリー】2月14日のバレンタインデー。誓護は(悪い虫がついていないか分かるため)妹の祈祝と一緒にチョコレート作りをして楽しんでいた。そんな時、家のチャイムに出てみるとそこには教誨師のアコニットが!
なんでもアコニットは人界の菓子であるチョコレートのトリュフに夢中で、近所にあるチョコレート工場のイベントに連れて行ってもらうためにわざわざ誓護の下まで来たという。久しぶりの再会でもあるし、誓護は祈祝・アコニットとともにチョコレート工場に向かう。
しかし、チョコレート工場を満喫していたアコニットが何者かに襲撃されてしまう。

徐々にアクション化

一応この巻までは富士見「ミステリー」として出版されているのですが、前回の鈴蘭との一戦といい推理系からアクション系に移行している兆候が見えますね。4巻で「ファンタジア」に移った理由が富士ミスがなくなることだとしても自然な流れでしたね。

元々アコニットの持つ能力や誓護の策略などといった異能バトル要素が強いので、バトルシーンが盛り上がる盛り上がる。
また個人個人で異なった異能を持ったグリモアリスたちに何の力も持たない人間である誓護が立ち向かうという、という展開がより一層異能バトルものとしての魅力を引き立てているように見えます。


相手の思考を読み取る鈴蘭との対立したときの立ち回りも面白かったのですが、今回の敵となるリヤナというグリモアリスとの対決も読み応えがありましたね。

魔力が続く限り、アコニットの雷も通じない絶対防御とどんな物体でも破壊する攻撃力。
そんな異能を持つ相手に、前巻に登場した軋軋がこの巻では仲間となって誓護と連携して対抗していくシーンは並みのバトルシーンよりも楽しめました。

戦闘時の視点が敵目線で、誓護がどんな策を使ってくるのかという期待感が溢れてくる文章の構成は見事です。


個人的には設定が複雑すぎてストーリーにグダグダ感のある「レギオス」よりも、こちらの方が文章の構成の上手さやキャラクターの魅力もあって好きなんですよね。


もちろん、ミステリーの部分にも魅力はあります。

過去にチョコレート工場で四人の女性が行方不明になったという不可思議な事件。
被害者たちはしっかり監視カメラで工場の出口に向かっているにもかかわらず、その後の消息を絶っている。

私は推理モノをあまり読まないので、ミスリードにすっかり騙されてしまいました。でも、何故か腑に落ちないというかトリックがわかってもスッキリしない感じがしなかったんですよね。

というよりミステリーの部分も確かに面白いのだろうけど、教誨師絡みの出来事の方に関心が行ってしまって途中で肝心の事件の真相が気にならなくなってしまった自分が悪かったな…。



幼女化

…えー、今回ある事を切っ掛けにアコニットが幼女化します。
そっちの業の深いお友だちは必見。この作者の描く幼女は何かが他と違う。


いつものアコニットもツンツンした態度でたまに見せる素の表情など十分可愛いのですが、幼女版アコニットの無口で強がってるとこも捨てがたい…。ロリ属性は無いはずなんですけど、このアコニットは純粋に可愛かったな〜。

 ようやく一息ついたところで、誓護はとなりのアコニットに声をかけた。
「大丈夫?疲れてない?」
 アコニットはつんとして答えなかった。
「どこか痛むの?」
「………」つん。
 抱き上げて走ったのが気に食わなかったのかも知れない。すっかりご機嫌ななめだ。
 眉間に小さなシワをいくつも刻んで、いっちょまえに『話しかけないで!』という顔をしている。

軋軋がアコニットの口をつかんで左右に引っ張り始めたので、誓護はあわてて止めに入った。相当痛かったはずだが、ちっちゃくてもプライドの高いアコニットは、しゃっくり上げそうになるのを必死に我慢して、殺すような目つきで軋軋をにらんでいた。

というか、この作者は祈祝といい、無口系幼女の表現がうますぎ…!


そして今回、遂にラブ方面でもアコニットに強力なライバルが登場します!

「私、誓護が好きよ」
 ゼロ距離から放たれた、あまりに意外な一言に、誓護の時間がピシリと止まる。

幼女化してロリ属性の誓護にアピールしても、これは大きな敵にならざるを得ませんね!



総合

☆4つ。
ミステリとしてはやっぱり物足りない感じはしますがそれでも十分楽しめました。

絵師の松竜先生の絵も一枚一枚細部まで丁寧でとても素敵です!カラー挿絵の幼女版アコニットに思わずドキッとしたことは内緒ですが。

どうやら今月の富士見ファンタジアとして復刻版がでるようですので、この機会に気になっていた方は買ってみてはいかがでしょうか?