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世界平和は一家団欒のあとに

感想 電撃文庫 世界平和は一家団欒のあとに 陽気 アクション シリアス 橋本和也 さめだ小判 ☆☆☆☆

世界平和は一家団欒のあとに (電撃文庫)

世界平和は一家団欒のあとに (電撃文庫)

【ストーリー】星弓家の人たちはみな超人的な力の持ち主である。
長女彩美:自称運び屋の魔法使い。次女七美:奔放な性格だが、宇宙スケールで無敵。長男軋人:ナイフで切りつけた相手の生命力を自在に奪える。四女美智乃:回復のエキスパートにして銃器のプロ。二男刻人:真面目眼鏡の正義漢で超怪力。
彼らは何故か世界の危機に何度も巻き込まれ、その度に世界を救っている。

これは特異な家族のおかしくもあたたかい物語。


狼と香辛料」や、「とある魔術の禁書目録」などの人気作品が跋扈する電撃文庫の中で、現在(2009年8月の時点)で既刊8巻という何気に人気の作品の第一巻。

家族全員が世界を救うヒーロー(ヒロイン)という設定ってどんなストーリー!?と疑問と興味を持ったのを切っ掛けに結構前に買い始めたシリーズでしたが、今ではお気に入りの作品です。


笑いあり、涙あり

上に書いたようなかなり変わった設定の割に基本的ところは面白い家族間の交流が描かれたハートフルな雰囲気で、超能力なんてモノはあってもお互いを思う気持ちなんかは家族らしい温かな物語が魅力的。
ちょっと切ないエピソードがそんな温かい雰囲気を更に強めているように感じました。


よくよく考えると

物語の設定もぶっ飛んでますけど、それよりも物語に登場するキャラクターの8割が家族って言うのがなかなか珍しいですね。
もちろん家族以外の人物である柚島香奈子も登場しますけど、あくまでこれは家族内の話がメインであって柚島は次巻以降への伏線といった感じです。

それでも家族は皆個性豊かで、語り部の軋人(きしと)の視点で見る兄妹同士の会話は楽しかったですね。

長女の彩美と不毛な罵り合いをしたり、傍若無人な性格の姉・七美にいいように扱われたりと、私自身に姉がいるので軋人の気持ちに共感できる部分(主に苦悩)があって妙な親近感が湧きましたw

実際兄妹がいない人が読んだらどう感じるかわかりませんが、いたって普通の会話でも十分楽しめる語りになってるんじゃないかな。


そして各兄妹のキャラがまた面白く特徴的でしたね〜。

上の姉一人に関しては今回のところ顔見せ程度の登場でしたけど、妹の美智乃はメインヒロインと思われる柚島を差し置いて出番が頻繁にありましたし、それに伴ってキャラの特徴がよく出ていました。

「お肉はね、ご飯のおまけ。所詮ご飯を引き立たせる脇役に過ぎないの。ご飯を何倍も美味しくしてくれる名脇役なのは確かだけど、あくまで主人公はご飯なの。クッパやビビンバはその意味で最高の出会いだったと言えるね。肉を焼くよりご飯を食べる!一粒でも多くのご飯を!野菜なんて焼いてる場合じゃない!玉ねぎ焦がすな!ラーメン頼むな!カロリーなんて気にするな!肉をつまみにお酒でお腹を満たすような輩は死んでしまえ!…(以下略)」

といったご飯至上主義者(大いに同意する!)の一面や

「これ?ヘッケラー&コッホ USP。スタンダードも持ってるんだけど、これはコンパクトね。私の一番のお気に入り。で、そこに置いてあるのがベレッタM92F。有名だから聞いたことあるでしょ?その隣のグリップ大きめなのがヘッケラー&コッホ P7。使いにくいって言うからもらったんだけど、私は好きかな。(以下略)」

という女子高生に似つかわしくないご趣味の持ち主だったりと濃いキャラです。


個人的には何気に七美がお気に入り。

普段軋人を困らせることばかりして迷惑かけてるのに、ここぞという場面ではちゃんと弟の面倒を見てあげていて、良いお姉さんだと思いませんか?
というより、規模は違いますが実際いる姉ってこんな感じですよね〜。



一部を除いた兄妹全員が濃い性格なので主人公である軋人は埋もれ気味ですが、姉を引き立てるいい弟役でもあるし、妹や弟の前ではしっかりお兄ちゃんしてる、いいヤツです。

ただ、彼の能力は色々と難有ですね。主人公として、この能力は描写不足もあってちょっと地味かな〜。これからもっと頑張れ!


総合

楽しかった!☆4つですね。
一見家族コメディでありながら切ないシリアスな面も持ち合わせた良作でした。
最後のオチもハラハラさせられましたし、キッチリ締めてくれたので読了感も良かったです。

確かに大作とは言えないかも知れませんが、出版されるとしたら何だかんだ言って絶対買うような作品ですね。