鷲見ヶ原うぐいすの論証
- 作者: 久住四季,カツキ
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2009/08/10
- メディア: 文庫
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【ストーリー】授業に出るどころか教室にも顔を出さないのに、常に学年トップの成績を残す変わり者の少女・鷲見ヶ原うぐいす。高校入学時のある事件から麻生丹譲は彼女と奇妙な付き合いを続けていた。
そんなある日、譲の通う高校の生徒会長・薬歌玲から自分の代わりに天才数学者・霧生塞馬のパーティーにうぐいすと共に出席し、「ある事を確かめてこい」と命令される。
ある事とは、霧生塞馬が天才数学者であると同時に『魔術師』である、ということだった。――こうして招かれた館『麒麟館』で、悪魔の事件は始まる。
あまりミステリ系は読まないのですが、色んなところで好印象のようですし、シノさんもミステリが苦手な方でもおススメ、と仰っていたので購入。
なので今回の感想はミステリが苦手な立場として書いています。
●わかりやすい!
上記のように、私は普段あまりミステリ系の小説を読まないので始めは「話についていけるか」という時点で不安だったのですが、そんな私でも何が起こっているのかちゃんと理解できるほど丁寧な説明でとても読みやすかったです。
しかも状況説明が地の文でなくキャラクターの会話を通しています。
これがミステリ初心者やミステリ系が苦手な人にも親切に出来ているので、途中で読み疲れることなく最後まで迷わずにいられました。
●論証
本編内では様々な複雑な定理が登場し、うぐいすはその定理を用いて事件を『論証』していきます。
タダでさえミステリと聞くと理解するのが難しそうに感じるのに、『悪魔の証明』とか『第一不完全定理』なんて聞くと余計に訳がわからなくなりそうですよね。
でもこれがこの本の魅力でして、一般人である譲のためにヒロインであり探偵役のうぐいすが推理の根拠として『定理』を利用してうまーく噛み砕いて説明してくれるのです。
今までミステリに苦手意識を持っていたのは、おそらく作者の人は相当わかりやすく説明してくれているのだろうけれど、探偵が推理の説明をしてもそれが理解できないのが原因なんですよね。
単に私の理解力不足が悪いんですけど、そういったことでミステリはキャラクターの会話は楽しめてもトリックが楽しめなかったのです。
それが定理を例に説明してくれると何故だか理解できるから不思議!
定理の説明も聞いていると科学的好奇心を刺激してくれるし、序盤の悪魔と神の違いの話なんてニヤニヤが止まりませんでしたよw
あ、あと登場するキャラクター達にある「能力」があるのもラノベらしい刺激があっていいですね。
それによってキャラの役柄がハッキリするし、魅力に一味プラスされてるように感じました。
●キャラクターも素晴らしい!
いやぁ、うぐいすがやっばいかわえぇ…。
女探偵で可愛いというと『GOSICK』のヴィクトリカとかが頭に浮かびますけど、変に気取ってない所なんかはちょっと探偵としては珍しいタイプの可愛さでしたね〜。
ラブコメだと王道のキャラかと思うんですが、ジャンルが変わるだけでここまで魅力が上がるとは…!
譲も譲でなかなかおいしいキャラでうぐいすのキャラがいっそう引き立ちますね!
終盤の意外な急展開は驚きましたがあれはあれでいいかも。…いいねっ!何だかテンションあがってきたっ!
●総合
最後の終わり方はちょっと気になりますけど、それでも大変面白かったです!
次巻がでるとしたら、どういった論証をしてくれるのか、譲とうぐいすこれからどうなるのか、今回出番の少なかった玲さんはどう加わってくるのか、などなどとても楽しみです!
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