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小春原日和の育成日記

小春原日和の育成日記 (電撃文庫)

小春原日和の育成日記 (電撃文庫)

【ストーリー】築七十年の貧乏アパート桜乃日和荘で暮らす小春原日和(14歳)は、人に認識されない・自動ドアは開かない・写真が自分の周りだけセピア色、と天才的に地味だ。そんな彼女が何を思ったか、超お嬢様学校である姫乃宮女学院を受験したいと言い出した!
日和曰く、姫乃宮に受かるためには『姫の如くのお嬢様』としての振る舞いを身に付けなくてはならないらしい。
そうして彼女を徹底的に改造するため、桜乃日和荘の管理人代行兼唯一の良識人である晴崎佑介を中心に日和荘で暮らすダメ人間達が協力し、日和を”おとなのじょせい”にする育成計画は始まった。

地味っこからお嬢様へ

う〜ん…。評価の判断に困る作品ですね…。

超絶地味っ娘の日和が同じ貧乏アパートの住民たちの協力を経てお嬢様学校に相応しい”大人の女性”、つまり”お嬢様”へと変身していく成長記というのが本作のストーリー。

内容は同五十嵐先生作の「乃木坂春香の秘密」のコンセプトが「お嬢様なのにオタク」というギャップだとすれば、これは「地味っ娘が超お嬢様になる」という真逆のギャップをコンセプトにしている作品とでも言えばいいのでしょうか。


取り敢えずストーリーは置いといて、地味な上に薄幸でも健気に頑張る日和やダメ人間ながらも一つの分野に秀でたアパートの住民たち、そして日和のために試行錯誤する管理人代行の佑介など、特徴的なキャラクターが魅力的な作品でした。


桜乃日和荘の住人たち

本作は何故か物語の主役であるはずの主人公とヒロインを差し置いて、他のアパートの住民たちのキャラが濃い!
ヒロインである日和はその性格上目立たないのはしょうがないのですが、佑介に関しては「乃木坂春香の秘密」の主人公よりは若干熱血色が付いているものの、(アパートの住民が濃すぎるというのを差し引いたとしても)典型的な無個性主人公なのが痛いですね。

まずキャラ設定からして格が違うんですよ。


住民その一:美崎音色
五浪中の浪人生。生活能力皆無だが、あらゆる楽器に精通している天才音楽家。

住民その二:霧嶺桃子
十七歳にしてニートツンデレとかじゃなく純粋に暴言を吐く。美少女な外見に反し、茶筅と茶碗で受け攻めを錬成する程のディープな腐女子。作法に関しては和洋問わずに師範代クラス。

住民その三:厳島又三郎
四十五歳の立派な中年(無職)。元々凄腕のカメラマンだったがデジタル化について行けず辞職。今では働こうともしないダメ人間。


こんだけ濃いキャラがいっぱいいるのに出番は少ないなんて…。ストーリーの関係であまりページを割けないにしてももったいない。
やろうと思えばメゾン一刻ばりに賑やかなシリーズにすることも可能だと思うんですけどね〜…。

まあ、これからの作者の采配によっていくらでも変わる可能性を秘めていると考えましょう。


やっぱりお嬢様が好き!?(作者紹介欄より)

この本単体で見れば面白いのでしょうけど、「乃木坂春香の秘密」を読んでいる身としてはちょっといただけない部分がありまして…。
まあ、「乃木坂春香の秘密」と似ている部分が多いんですよ。

同じ作者なのだから当たり前じゃないかと思われるでしょうけど、ちょっと読んでいただければ分かると思います。

「…分かったよ」
「え……?」
「日和がそこまで言うからには何か理由があるんだろ。ならそれを信じる。応援するから、やれるだけやってみればいい」


これは佑介が日和に言ったセリフですが、裕人(『乃木坂〜』の主人公)のセリフに激似な気が…。

もちろんこんなに少ない引用文だけで全体に影響を及ぼす程ではありません。
でも地の文やこの作者独特のセリフ回しまで一緒だと、一瞬自分が読んでいる作品が『小春原日和の育成日記』ということを忘れさせられてしまいます。
あと、音色さんがキャラと設定が完璧に由香里先生と被っていませんか…?主人公の呼び方が「ゆ〜くん」ですし…。


こうやって思ったのは私だけなのかな…?
是非ともこの本を読んだ方で『乃木坂〜』も読んでいる方に聞いてみたいです。



総合

お嬢様になるために頑張る日和やそれを支える桜乃日和荘の住人たち、そして日和と佑介の兄妹の様な温かいやり取りはとてもハートフルで面白かったです…。

他の作品と比べるのは良くないとわかっているんですけど…、私の主観に正直になれば☆3つです。客観的に考えると☆3つ+ぐらいかな…。


これからの展開によっては全く別モノになる可能性はあるんで、それに期待します。