記憶の森のエリス ブラコン×記憶力ゼロ→大迷走

【ストーリー】女守市の中高生の間で囁かれる、「記憶の森」という都市伝説がある。そこは十代の人間だけが入ることができるという、不思議な場所。そこにいる記憶の守人に会えば、一度だけ記憶に関する願いを叶えてもらえるという。
ある者は、忘れてしまった大事な思い出を取り戻しに。ある者は、嫌な思い出を消し去りに。またある者は、他人の記憶を改竄しに。
その記憶の森の守人で極度のブラコン&貧乳のエリスは今日も兄カイルの妄想に耽り、彼女のパートナーで案内役のカガミは胸フェチ&記憶力ゼロのバカだった。
そんな二人の下に今日も記憶の悩みを抱える少年少女が訪れる。


う〜ん…?何か変な読了感。


うん?

記憶に関する悩みを持つ中高生の願いを叶える「記憶の森」の守人のエリスと、そのパートナーで案内人のカガミのちょっとファンタジックなラブコメ
作者の人の言葉を借りるなら、「ブラコンとバカが人助けをする話」だそうです。


その内容は全四話の短編形式で、1・2話は雑誌「ザ・スニーカー」に連載されていた物で記憶に関する悩みを持つ女の子たちの話。残り3・4話は描き下ろしのカガミとエリスの出会い話と「記憶の森」に敵対する組織「過去狩」の話、なのですが…。
どうもパッとしないというか印象に残らないというか。


毎回新しい登場人物を中心として展開するのが短編形式系の話なのに、主人公とヒロインを中心に展開していくラブコメを主軸に置いてるんでどっちつかずな感じが出ちゃってますね。

キノの旅」とか「しにがみのバラッド」みたいな短編形式系を匂わせる「少年少女の記憶に関する願いを叶える」という設定がラブコメとして読むには中途半端になってしまっているように思えました。


中途半端だけど

つまらない、という訳でもないんですよね。

特に主要な登場人物たちは普通に良かったんじゃないかな?

「個人的には、女艦長がほしいなー。この上から見下す感じのポージング、カイル君が好きそうだわ…。でもでも、主人公の幼馴染も基本よね。シークレットは幼馴染の別バージョンらしいわよ?露出度が上がってて、ちょっとえっちなのよね。ああでも、こういうコスプレしたら、カイル君喜んでくれるかなあ…どうしてもっていうなら、どんなきわどい恰好でもしちゃうけどっ!」

極度のブラコンでオタクッ気のあるエリスは兄・カイルの妄想で度々トリップするし、

「バカ野郎、記憶力がなんだ!どうせ世の中なんて、覚える必要のないことばかりだ!むしろ必要なのは勢いだ!勢いが明るい未来を作るッ!」

カガミは記憶力ゼロという欠点をまったく気にしないでハイテンションなバカやってるし、普通にコメディとして面白い部類に入るんですよ。


何か素直にギャグ&ラブコメやってればここまで評価に悩む作品ができることもないのに…。


雑誌連載だからページ数が少なくなってしまうにしても、短編の登場人物たちの記憶に関する悩みの話はオチが微妙。
記憶を完全に忘れる・思い出す・改ざんする、という設定をもっと活かして欲しかったな。


総合

私が思うに、この作者さんはキャラと短いやり取りは良いけど「物語」を作るのがあんまり得意じゃないんでしょうね。個々の場面は面白くても、全体的な「ストーリー」として読むとそこまで面白く感じられない。

過去狩の話もいまいちよくわからないうちに終わっちゃったし、この一冊で話が締めくくられてないから評価のしようもないです。
なので評価不能です。

決してつまらなくは無いんですけどね〜。



次の巻は…どうしよっかな。