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図書館迷宮と断章の姫君

図書館迷宮と断章の姫君 (MF文庫J)

図書館迷宮と断章の姫君 (MF文庫J)

【ストーリー】十六年前出現した『図書館迷宮』の影響で読書魔法が使われるようになった世界――。高校生の刻馬は、幼馴染みの美々子の家の書庫で賊に襲われる。そのとき、一冊の書物がプラチナ色の髪の美少女に変化した!「貴様……よりによって九八ページを見るとは破廉恥なッ!」「怒ると可愛い顔が台なしだぞ」「可愛いとか言うな!」そんなやりとりをよそに、美々子は書物の少女を『読んで』魔法を使おうとするが、少女の魔力が膨大すぎて失敗してしまう。並の書物ではないようだが、イクミと名付けられた少女は自分のタイトルしか覚えていなかった。『自分』を取り戻そうと、イクミは刻馬に協力をせまるが……!?

なかなかいい雰囲気の


ブコメダンジョン系アクションですね。

流石に同じダンジョン系のアクションものである『薔薇のマリア』のようなギリギリでの命の駆け引きや濃密な戦闘描写は無いのですが、話の土台にあたる「読書魔法」や「図書館迷宮」といったさながらRPGの世界観が丁寧に作り込まれているのでその部分に対して不満を感じたりとかはありませんでした。

そもそも戦闘描写が大分省かれているので「アクション」という分類にするにはちょっと違和感がありますが、あえて言うなら「ダンジョン探索もの」のほうがしっくりきますね。あとがきを読む分にはそういった下地部分は「ウィザードリィ」という有名なRPGゲームを意識していたらしいのであながち間違ってもいないのかも。

特定の書物は人に変化し、人化した書物たちは迷宮内で集落を作って子孫を増やして地上からくる人々と交易を持って生活していたり、人化した本や「読書魔法」の素質を持つ子供が集められた高校が舞台など、設定自体が中々面白かったです。

それにしても迷宮内の集落という設定は良かったなぁ。
今後もっと集落が増えていけば世界観はどこまでも大きくなりますよね。今回の狩猟系の民族以外にも、集落ごとに何か特色があっても面白いかもしれませんね。でもあくまで主流が学園ラブコメなので、ダンジョン方面に傾くと色々バランスが悪くなるかもしれませんが。



初めは

学園ラブコメダンジョン探索ということで不安でしたが、やたらとシリアスに傾き過ぎないところが良かったんでしょうね。
人死にが出る可能性はあるけれど、現段階では本当に「死ぬ可能性は無くは無い」程度。本格的にダンジョンアクションを書こうとしたら物足りないかもしれませんが、ラブコメとしてだったらこの緊張感はちょうど良いと思います。

主人公の刻馬が「読書魔法」を使わない理由とか、色んな人の思惑が見え隠れしていたりと程良いシリアスさのおかげでラブコメ部分が引き立っています。


あと前作『二人で始める世界征服』でもそうでしたが、ヒロインが設定上はテンプレっぽいのに実際読んでみると妙に魅力を感じるんですよね。今回もお姉さん系幼馴染とかツンデレヒロインが登場しますが、二人とも内面描写とか感情が豊かで読んでて楽しいです。

特にイクミが意外にも素直な、というより純粋なところが良かったですねぇ。
美々子に叱られた後直ぐに自分が悪かったと認めて謝るし、不安な気持ちとか感謝の気持ちが素直に感情に出るヒロインって最近見なかったからか逆に新鮮。刻馬の女子を褒める癖にイチイチ照れて怒るところも可愛いです!
個人的にはもっと刻馬がキザでもよかったかな〜、なんて思いますが美々子とのパワーバランスを考えればちょうどいいのかもしれませんね。


総合

結構面白かったです。☆4つ。

上でも言いましたがあくまで主流はラブコメなので、ダンジョンモノとしてはあまり期待しない方がよろしいかもしれませんね。

今後の作者の成長具合によっては戦闘シーンがもっと面白くなるかもしれないので、そこは次から期待しましょう。


何気に次の展開が楽しみです。次の巻も期待しています!




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