A&A‐アンドロイド・アンド・エイリアン‐ 未知との遭遇まさかの境遇
A&A アンドロイド・アンド・エイリアン 未知との遭遇まさかの境遇 (角川スニーカー文庫)
- 作者: 北川拓磨,MaYa
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2010/02/27
- メディア: 文庫
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【ストーリー】岩の怪物に襲われた高校生・神崎光輔が目覚めると、そこには美少女イリヤの姿が。彼女は自分が宇宙人で、完成間近のアンドロイドに光輔の意識が転移してしまったと告げる!!
極度の人見知りだけどアンドロイドには超強気、しかも地球文化を誤解しているイリヤに光輔は振り回されっぱなしで―――!?
アンドロイドとエイリアンが巻き起こすドタバタ異文化コミュニケーション、スタート☆
●表紙のキャラが
ケモノミミだったんで突発的に買った。後悔はしていない。
いや、結果的にケモノミミ成分はあんまりなかったけど面白かったですよ。表紙とあらすじのラブコメな雰囲気の割にシリアスでちょっと哲学な話でしたけれどね。
●物語は
本当にごく普通の高校生・光輔とちょっと常識が欠けた宇宙人の美少女・イリヤの異文化コミュニケーション&青春もの。
最近こういった異世界もしくは宇宙人のヒロインと「人間」について考える題材が増えてますが、その中でもこれは個人的に好感触でした。
こういうちょっと哲学入る話はキャラに感情移入できるかできないかで物凄く左右されるんですよね。
(宇宙人とかは置いといて)ファンタジーなんかの非日常的な話じゃなくて誰もが考えるような身近な題材だからこそ、そこは軽視できないと思うんです。
そういう部分で、主人公であり語り部の光輔が「普通の高校生」なのは良かったですね。
自分が死んでしまって、アンドロイドのカラダになってしまったということを認めようとせずに否定する必死さもリアルですが、本物の人間とは違うアンドロイドの身体に徐々に違和感を覚え始めて悩んでいく心理描写がすっごい。
「自分って何だろう」
とは、14〜6歳くらいの思春期の少年だったら誰もが一度は考えるちょっと中二病っぽい悩みですが、光輔の場合は自身がアンドロイドになってしまったんでかなり逼迫して考えさせられてました。でもその鬱々とした悩み方がまたその頃の少年らしい姿で共感を覚えるんですよね。
大げさに取り乱したりしないんだけど、着々と自分は人間じゃないということに気付いて「自分はもう人間じゃないんだ」と諦め、今までやっていたことを辞めたりしていくところなんかはじわじわと恐怖を感じましたよ…。
それでもシリアス一辺倒にならないのはヒロインのイリヤと日奈子や蒼馬のおかげですね。
イリヤの常識知らずのボケっぷりも場を和ませてくれているんですが、何より、変わってしまった光輔に対してさり気無く心配しながらも変わらず接してくれる日奈子や蒼馬の存在は結構大きいですね。
この非日常と日常の空気の使い方も新人とは思えないくらいうまいなぁ。
●全体的に
光輔が自身について悩むパートと、いつも通りの学校パート、そしてイリヤとのコメディパートの三つの空気の使い方がうまいんですよね。
根本はシリアスだけど、ラブもあるしコメディもある。何かに突出してるわけではないんですが、それぞれが良いバランスで配合されて全体的にはまったりとした雰囲気が青春モノとしてかなり良いと思います。
●総合
☆4つかなー。
ちょっとコメディがくどい感じもしますが、上にも書いたとおり本当に空気の使い分けが素晴らしいです。ラブ方面から見ても今のところ幼馴染の日奈子とイリヤ両方とも可能性が十分残っているので期待できますし。
ただバトルは少なめでも良いかも。
できればこの雰囲気をなるべく崩さないままで進めて欲しいですね。
次の巻も期待しています。