官能小説を書く女の子はキライですか?

官能小説を書く女の子はキライですか? (電撃文庫)

官能小説を書く女の子はキライですか? (電撃文庫)

【ストーリー】氷坂月は家族同然に育った俺の幼馴染み。家の事情で離れ離れだったが、この春から一緒に暮らすことになった。
 でも久しぶりに会った彼女の様子がおかしい。電車内でいきなり俺の手を自分のお尻に押し付けたり、スクール水着で風呂場に乱入してきたり……。さらになぜか男子の制服着て、「男」として学校に通いだして……!? 保健体育の授業を聞いて気絶しちゃうような温室育ちのお嬢様なのに一体なんで……?
 そして、そんな月を心配するあまり、ついに彼女が抱えている意外な事情(ひめごと)を知ってしまった俺は──?


えっちな女の子はキライですか?

エロい女性というと、むっちりしたお姉さんってイメージが強いかもしれない。

確かにそれはそれでイイ。だけど、普段はそういう話題には恥ずかしがって疎い感じがするのに実はそういうことに興味津々な女の子、っていうのも悪くないと思うんだ。しかもその子には同世代の異性の幼馴染がいて、いつもは彼の思春期が故の行動を注意するものの、内心イヤじゃない。むしろ恥ずかしいけど少し嬉しいかも…。とか考えてたら…?しかもしかも、ある理由で男として幼馴染の彼と一緒の学校に通い、女とバレないために彼に色々サポートしてもらうってシチュだったら…?


改めて聞きましょう。


ムッツリな女の子はキライですか?

−−むしろ大好きだ?なら書店へ急げ。無口系ムッツリ幼馴染が君を待っている。


とまぁ、そんな内容の話です。
久々にちょっとコッチ方面メインに手を出しましたが、まぁまぁ当たりだったかな。

作者に言わせれば「(微)王道エロコメ」だそうですけど、ヒロインの月は官能小説を書いていて、主人公の真一は彼女が体験した事を妄想を付加させて小説を書いているということがわかると体験取材に積極的に協力するようになるとか、(微)と付いている割に一歩間違えれば出版レーベルを変えなくちゃいけないレベルだと思うんだ!つーか設定自体某仏書院っぽいよっ。

まぁでも主人公の真一は昔から一緒に暮らしてきた月は家族同然の存在として大切に扱っているので、そうそう簡単には一線を越えるようなことは無いようですけどね。月も月でそんな彼を信用しているからこそ一緒にいられるのだろうし、少しくらいなら大目に見てるようです。例ええっちぃことが無くてもこの二人の雰囲気なら普通のラブコメでも十分楽しめそうですけどね。

ただ惜しくらむべきは

キャラが行動を起こす動機でちょっと「?」ってなることが多かったかな。
月が官能小説を書き続けたい理由とか、いきなり真一が今からこういうシチュで体験取材をしようって言い出すところとか、感情移入して読んでたら急にキャラクターが走り出しちゃうんですよね。なんらかの行動を起こす動機付けが弱いというか、行動を起こすまでの流れが急過ぎて突き放されたように感じました。
それが特にメイン以外のキャラに顕著に表れてましたね。浅井がなんであそこまで真一を嫌っているのかは最後まで分かりませんでしたし。
例えばですが、真一が体験取材をしようぜっていうところはもっとムラムラしてくる心理描写を増やした方が自然に感じられると思うんですよね。


総合

う〜ん…。☆3,5くらいかなぁ。
結構良い感じなんですけど、まだまだ隙が多いように感じられます。
ストーリー自体は王道ながら心理描写が多くて面白いんで、続いて行くうちにその隙が少なくなってくれることを願います。


次の巻も期待しています。