わたしと男子と思春期妄想の彼女たち 1、リア中ですが何か?

わたしと男子と思春期妄想の彼女たち 1 リア中ですが何か? (ファミ通文庫)

わたしと男子と思春期妄想の彼女たち 1 リア中ですが何か? (ファミ通文庫)

【ストーリー】日々愛欲に悶える中学生・峰倉あすみ。ある朝、怪しい虚無僧に渡されたコンタクトレンズを通して彼女が見たものは、水着やブルマ、メイド服を纏って教室を占拠する《妄想少女》たちだった! 彼女のいない男子なら誰もが望む妄想の彼女。だが、あすみの愛する高柳君にはいない!? 学校一の《妄想美少女》リサたちと、奪・高柳君に燃えるあすみの恋はどうなる!? 


リア中いいなぁ・・・。


設定に騙されちゃだめだ!

いやホント。

色モノ覚悟で買ったハズでしたが予想以上に大当たり!
思春期の恋愛模様がガチで描かれていて久々に甘酸っぱくてきゅんきゅんした!

男子の妄想(理想?)から生まれた妄想少女なるものが見えるようになった主人公のあすみが、恋煩いの相手で幼馴染の高柳君にはその妄想少女がいない(=彼は既に誰かと付き合ってる!?)ということに困惑して奔走する話。

妄想少女というぶっ飛んだ設定がどう扱われるのが気になってましたが、あまりにも真っ当過ぎて逆に感心してしまいましたよ。むしろそんな妄想少女たちと協力し、憧れの高柳君が自分に振り向いてくれるように頑張るあすみの思春期らしい純情さと一途さが色々キました!

十三年だ。
生まれてからずっと好きだったのに、彼に彼女が出来たなんてイヤだよ。せめて教えてくれよ、高柳君。
鏡に映ったわたしの瞳に涙が溢れた。本当に彼の事が好きだったんだなと再認識する。
高柳君は、わたしの知らない彼女と手を繋いだり、話をしたり・・・・・キスをしたりしていたんだろうか。
「ちきしょう。ちきしょう」

ここ、イラストにもなっているんですが、ホントに心にドスッときました。
「ただの仲が良い」状態から「好きなのかもしれない」という心の変化が現れる中学生独特の感情の描写がすっごくうまくて、懐かしさと何かよくわからない感情で胸が締め付けられました…。
あすみの普段子供っぽく騒がしい行動の合間、ふとした瞬間の感情の動きが素晴らしい。こうやって色々感じながら成長していくんだよなぁ…、と読んで感慨に耽ってました。

この後恋敵が現れたり、高柳君と喧嘩してしまったり、ちょっとした事件が起こったりしますが、そういった障害を乗り越えて成長していくあすみの姿がとても良かったです。



総合
☆4つです。

あすみが明るく軽快なノリなので雰囲気自体はもっと賑やかですが、ちょっと目を凝らしてみれば思春期少女の心が丁寧に描かれている良い話です。
もし、この本をこれから読んでみようと言う方がいましたら、是非とも「あすみの心の成長」という部分を注意して読んでほしいですね。
ここに気付けるか気付けないかで物語の面白さが大分変ってくると思います。

1、ということは2も出るのかな?
私的にここで終わらせても綺麗な終わり方だと思うのですが、次の巻も期待しています!