夢魔(サキュバス)さっちゃん、お邪魔します。1

夢魔さっちゃん、お邪魔します。1 (ファミ通文庫)

夢魔さっちゃん、お邪魔します。1 (ファミ通文庫)

【ストーリー】「どうも、さっちゃんでーす!」と漫才のノリで現れた夢魔(相方はバク)に「あなたの夢世界が何者かに壊されたわ!」と宣告された尚史【たかし】。それ以来物忘れなどが増え高校受験に支障が! こうしてさっちゃんと夜な夜な他人の夢に忍び込み犯人を探すことに。しかし容疑者は皆親しい人物で、尚史が想いを寄せる現【うつつ】も含まれていた! さらに彼らの夢世界を調べるうちに、尚史は“本当の自分”と向き合うことに――。


お、重い…。


表紙に騙されて☆

こんなポップなタイトル&あらすじからは想像できないだろ…。という程ずっしり来る内容でした。

確かにあらすじどうりの内容なんだけど、夢世界を壊されたら最悪命を落とす可能性有り・犯人の動機が超重い。ということを付け足さなくてはならないな。

序盤はちょっとファンタジーな学園コメディらしいスタートなんですよね。疎遠な仲になってしまった美人の幼なじみ
に友達の一人が言い寄ってて複雑な気分だったり、そんな二人は平凡なレベルな自分とは違って進学校へと進学を目指していて更に落ち込み気味。それでいて自分のことをアリディア様と呼ばせ、尚史のことをギルバードと呼ぶ邪気眼な部長のいる部活に入っていたり。

このままだったら特に問題も無く普通の学園ラブコメなんですがねぇ…。

夢世界を壊した犯人を特定しようとしだすところ辺りから段々と雰囲気が不穏なモノに…。


夢世界を壊した犯人の

独白は心にずっしりと来たなぁ…。
やったことはもちろん悪いことだし、尚史に責任を押し付けようとするのも筋違いかもしれない。でも犯人だって相辛かったんだしなぁ。そう考えると傍にいたのに犯人の気持ちに気付けなかった尚史も完全に白と言うには腑に落ちない…。
作中で言われていたように、知らない、ということは言い訳にならないし、それが身近な人ならばなおさら酷いことだよなぁ。全く持って作者の言うとおりです。
今までなんとなしにヒロインのあからさまな好意に気付けない主人公、というラブコメを読んできましたが、これには完全に盲点を突かれました。


総合

☆4つ。すごく複雑な内容だったけど、これはこれで読みごたえがあって楽しかった。
ミステリではないかもしれませんが、これはネタバレすると面白さが激減してしまうので結局全然内容が書けないや…。

「1」ということで続きがあるようですし、2巻も期待して待っています!