夢魔(サキュバス)さっちゃん、お邪魔します。2

夢魔さっちゃん、お邪魔します。 2 (ファミ通文庫)

夢魔さっちゃん、お邪魔します。 2 (ファミ通文庫)

【ストーリー】幼なじみの現【うつつ】やアリディア様こと覚【さとり】たちとの新しい学校生活をスタートさせた尚史【たかし】。だが入学早々事件が起こる。実力テストで満点を取ったクラスメイト、円居鑑【まどいかがみ】はテスト問題を完璧に予想できるというのだ! しかもその予想は生徒間で密かに売買されているらしい……。いつも不機嫌なこの少女の行く末に不安を感じた尚史は、さっちゃんと共に彼女の夢を調べることに。そこには全ての色彩が"反転"した不気味な世界が広がっていた!!


気が付いたら主人公がリア充だった…


コメディなタイトルで

その実、内容は思春期の少年少女の悩みをドシリアスに描くというギャップで魅了してくれたシリーズの二巻目。
鬱展開とかヤンデレが好きな方には超オススメ。

というか、最近私のなかでファミ通文庫の立ち位置が文学少女といい、シリアス担当になってきている気がします。


ですが、

今回は割とマイルドになったかな。
その大きな理由の前回の教訓を活かし、尚史が偽善と呼ばれようとも、見て見ぬふりは止めようと決意したことが大きいようですね。
前回で悩みからすっかり解放され、デレに移行した現も良い感じに病みながら、尚史を人生の墓場に引きずり込もうと奮闘するという健全(?)っぷりのおかげもあって、随分明るくなったように感じます。
個人的に今回の現のキャラは結構好みですね。一見して尚史を苛めているように見えながら、ある意味自分に素直になっている感じがGOODです。

そんでもって

今回のメインターゲットとなる円居鑑ですが、現ほどでは無いですがなかなかに歪んでて面白い子ですね。
家庭環境のせいでちょっと捻くれてしまい、そんな彼女が抱える悩みは普通の人とはちょっと違うけれど、どこかしら共感できる部分もあるのが親近感を感じました。
自分がしていることに対して罪の意識を感じていながら、自分を傷つけるしか対処方法を見つけられない。作中でも語られていましたが、現同様、素直になれないことが一番の原因なんですよね。まぁ、彼女の場合はまたちょっと特殊な事情が加算されますが。

そして、そんな彼女の背中を一押ししようとする尚史がカッコ良かった。
1巻の時の様な「知らなかった」という言い訳をせず、知った上で真っ向からぶつかって行く強さを見せつけてくれてスカッとしました。
前回、ラブコメの主人公のような、周囲の行動に対して「知らない」「気付かない」という鈍感さは罪だと気付かせてくれましたが、今回の彼はそんな周りの行動待つような受動的主人公から、自分から動いて状況を変えてみせる主人公へと成長してくれたところも良かったですね。ラブ方面でも尚史は自分の意思をハッキリさせて行動していましたし。
でも、その行動が簡単に通用しないつわもののヒロインがいるというのがまた面白いのですがw

総合

☆4つ!
シリアス分はいくらか落ち着きましたが、その分これからのストーリーも少しずつ定まってきたようで、これからの展開が楽しみになりました。
個人的にはアリディア様の独壇場が少なくなってしまったのが残念な上に、ヒロイン増加でますます彼女の立場が危うくなっているのは心配ですが、今後の展開が面白そうです。

このまま波に乗って欲しいですね。
続きも期待しています。