罪都B×B

罪都B×B (ガガガ文庫)

罪都B×B (ガガガ文庫)

【ストーリー】罪都──夜の闇に徘徊する怪物・人狼が人々を恐怖に陥れ、人狼殺しの集団・新造体が疾走する街。ゲームフリークにして一撃必殺の電撃をその手に宿す人間の少年メロウは、すべての人狼を絶滅させる「人狼狩りゲーム」を開始する! パートナーに選んだのは同族殺しで名を馳せ、理想の王子様を探す美少女人狼ヒツジ。ふたりが標的に定めたのは最強の人狼ツヴァイ! そんななかメロウは学校で一番人気の女の子カガミに屋上に呼び出され……。人狼と新造体が激突する街で、メロウの電撃が炸裂する!

何故に人狼…?


おそらく

このサイトに何度か訪れてくれている方はご存じと思いますが、私はケモノミミが大好きな所謂ケモナーであり、そういったキャラクターが出ている作品は大好物です。
そんでもって、この作品のあらすじに”人狼”とあることからも予想できる通り、私はこの作品はてっきりウェアウルフ的なキャラクターが蔓延るような物語なのだとばかり思っていました。
…が、蓋を開けてみれば、

馬鹿め!騙されたな!

とばかりにそんなキャラクターなんて全くいないワケですよ!!
表紙の羊の角みたいなのが生えてるキャラはいますけど!全然ケモノ要素ないですし!唯一トカゲヘッドのザコキャラが瞬殺されたくらい!
まぁ、作品自体が面白ければオッケーですけど、特に狼要素もないのになんで怪物じゃなくて”人狼”って名前にしたし…。

その内容ですが

ある事件をきっかけに人から怪物に変化した”人狼(ビースト)”が蔓延るザイトシティ。そこで主人公メロウは復讐の為、人狼でありながら同属狩りをしているヒツジを味方に、人狼を狩っていく。というお話。

まぁ、良くあると言ってしまえば良くある学園異能モノですね。
メロウは一撃必殺の能力を持っているけれど、体力的には普通の中学生で、その体力分を補うために性格同様ねちっこいトラップが得意。そんな彼をサポートするヒツジは、体力的には並み以上の化物で、能力も強力。だけど頭の方がちょっと残念という、二人のコメディチックなやり取りが混ざりつつ、一応シリアス中心に物語が展開していきます。

んでもって、途中で人狼に対抗して作られた半人造人間の組織の一人であるカガミと協力体制になったり、なんだかんだあって人狼最強のツヴァイを倒しに行くことになるんですが、なーんか盛り上がりに欠けるんですよね…。

強さレベルだとか、展開早過ぎとか、情が移るの早っ!とか色々思いつくところはあるんですが、何より、メロウが復讐を誓っている割に人狼を憎悪している感じはしない、むしろほぼ一般人がゲームをしてるようにしか感じられないところが設定のシリアスさとの解離を感じさせられたんですよね。
人狼を憎んでいるんだったら、それでこそ人狼であるヒツジを「ボロ雑巾になるまで利用して最後は捨ててやる」くらいの捻くれた性格をしていてもいいのに、なんか思考が普通。
仮にも命をかけて戦っているならそれなりの覚悟があって当たり前なのに、それが感じられないんですよね。
それは敵のツヴァイにも言えるんですが、どーにもキャラクターたちの考えが甘い。シリアスなハズなのに、全然シリアスさがないのはいただけないです。

異能バトルモノの良いところは、能力の駆け引きだったり、一歩間違えれば死という命を賭けた緊迫感とか、熱いバトルじゃないのかなぁ?

でもまぁ、コメディパートは天然アホの子であるヒツジが割と良かったです。
アホの子でありながら、微妙に直進バカな感じも交っててバカ可愛いです。これでもしケモノキャラだったらなぁ…、と惜しまずにはいられませんね。
カガミも微妙に残念なツンデレさんで愉快ですし、この作品は完璧にコメディの方が面白いと思うんだよなぁ。


総合

一応話としてはまとまっているんで、☆3つかな。
ただやっぱり、作品の雰囲気が微妙。シリアスとも取れないしコメディとも取れない感じはマイナスですね。

1巻でいきなり最強の人狼倒しちゃったし、このあとどうするのかはわかりませんが、しばらく保留かなぁ。