嫁にしろと迫る幼馴染みのために××してみた

【ストーリー】寂れた地元商店街を救うため、大村秋馬はフードファイトに挑む日々を送っていた。
 そこにある日帰ってきた幼馴染みの来海。その胸には、幼いころ交わした「お嫁さんになる」約束があった。
 しかし、目の前に現れたのは変わり果てた秋馬。どうにか秋馬を自分の理想に近づけようとする来海だが……暴走しがちな奮闘の行方は!?


一昔のある友人との会話。

ラノベの主人公ってさ、だいたいどこにでもいる普通の〜って設定か、鈍感のイケメンしかいねぇよな。ラノベでさえデブには主人公の資格もないのか…」

そんな彼にこの本を読ませてあげたい。色々な意味でそう思った。


今まで

様々なジャンルのラノベを読んできましたが、ダイエットを主題にしたラノベは初めて見ましたよ。
内容はぶっちゃけ全く想像できないまま、好きな作家さん(風見周さん。HPがすごく面白い)というだけで買ったんですがね。まぁ、ある方面に関して特化した人なのでそれを期待したのです。
でも、良い意味で期待を裏切ってくれました。予想の斜め上ですが、なかなかに面白い設定です。

その設定とは

主人公がヒロインの為にダイエットする!

というもの。

ふつーに考えてダイエットをテーマにどう面白い話を作るんだ?と疑問に思いながら読み始めましたが、これが意外にサクサクと楽しんで読めちゃいました。


内容は

ヒロインである来海は幼いころ、主人公の秋馬とした約束の為にアメリカから帰国して、意気揚々と彼に想いを告白した…が、当の秋馬は123キロという姿に成れ果てていたのであった。
かくして、来海は秋馬を理想の体型にするべく、彼を(強制的に)ダイエットさせるのであった。
というのが大まかなストーリーです。

キャラクターもみんな魅力的でして、その代表が主人公の秋馬です。
ラノベ史上初と思われる、123キロもの重量を誇る主人公の彼ですが、彼の優しさというか人の良さが地味に良い。
そもそも彼がそんな体重になってしまった環境や、理想の為にダイエットさせようとする来海のわがままに対して、言い訳や文句を言うどころか「仕方ないね」とばかりにその身体の如く大らかな態度がなんだか新鮮。

メインヒロインの来海もわがままは言いますが、ちゃんと秋馬のことを想って行動するあたり人間味があって可愛いと言えますし、秋馬の大らかな性格と相まって、仲の良い兄妹のような雰囲気で微笑ましいです。

メインヒロインの来海以外にも、何故かダイエットの知識が豊富なクラス委員長・神林さんや、ある特殊な性癖を持ち秋馬を狙う琴音など、個性的で魅力的なヒロインはたくさん。個人的には琴音がなかなか変態っぽくてお気に入りだったり。


作者さんが

実際に100キロから60キロ代までのダイエットを経験したということもあって、ダイエット方面の話はすごい本格的でした。
良く聞く断食ダイエット方法などの間違っているところを指摘しつつ、その中でもちゃんと医学的に根拠のある正しい知識が解説してあります。しかもこの解説の部分も退屈なんてことはなくて、あたかもリアル志向のファンタジーの理論を聞いてるように、「へ〜」と納得しながら読めるんですよね。実際話していることはダイエットのことなのに…w


秋馬ですが

ヒロインたちの魅力はもちろんなんですが、話の展開を考えると改めて秋馬は良いキャラクターだなぁ、と思うんですよね。

町おこしの為に大食いをしたり、来海や琴音のために苦労しつつ頑張ったりとまるで聖人君子のように優しい一面も彼の良いところなんですが、最後の最後、そんな彼が太ってしまった本当の理由が余りに人間臭いと言うか、「青春時代の少年」らしくて、最後にやられたなぁ、と良い意味でしてやられた感じがして、一気にこの作品を好きになりました。

P308のセリフは、そんな彼の良さを表した良い殺し文句だと思うんですよね。こんなこと言われたら外見がどうであれ惚れちゃいますよw
まさに、「人間は外見が全てじゃない、中身も重要なんだ!」ですね。


総合

面白かった!☆4つ!
個人的にすごく面白かった!タイトルからは想像できないかもしれませんが、何気にすごく純愛ラブコメですよ、これ。
お話的にもまだまだ始まったばかりで、これからいくらでも面白くなりそう。
是非とも、続きが読みたいです。