冴えない彼女の育て方

冴えない彼女の育てかた (富士見ファンタジア文庫)

冴えない彼女の育てかた (富士見ファンタジア文庫)

冴えない彼女の育てかた 2 (富士見ファンタジア文庫)

冴えない彼女の育てかた 2 (富士見ファンタジア文庫)

【ストーリー】これは俺、安芸倫也が、ひとりの目立たない少女をヒロインにふさわしいキャラとしてプロデュースしつつ、彼女をモデルにしたギャルゲーを製作するまでを描く感動の物がた…
「は?なんの取り柄もないくせにいきなりゲーム作ろうとか世間なめてんの?」「俺にはこのたぎる情熱がある!…あ、握りつぶすな!せっかく一晩かけて書き上げた企画書なのに」「表紙しかない企画書描くのにどうして一晩かかるのよ」「11時間寝れば必然的に残った時間はわずかに決まってんだろ」「もうどこから突っ込めばいいのよ…このっ、このぉっ!」
 …ってことで、メインヒロイン育成コメディはじまります!


前々から気になってたのを4巻をがれさんが購入すると聞いて購入決定。


読了後の第一印象は

王道のようですこし王道から外れたラブコメ、という感じ。

主要キャラは超ディープなオタの主人公に、ツンデレ金髪幼馴染、主人公をからかって楽しむちょいS先輩と、
属性だけ挙げてくとテンプレそのものなんですけど、あんまりベタな印象はないんですよね。


・主人公:難聴系鈍感ではなく、妙な行動力とプロデュース力がある。

・幼なじみ:理不尽暴力系でも無ければ強かで割としっかりした良いキャラ。むしろ主人公に振り回されっぱなし。

・先輩:ちょいSでも人間としてもクリエイターとしてかなりしっかりしている。割と素直だけど甘え上手。

ざっと思い浮かべてみると、このあたりがスパイスになっててテンプレ感がないのかな?(あれ?メインヒロインについて書いてなくね?)

あとはあんまりラブに傾倒しすぎてないこともよかったのかもしれないですね。
というよりこの作品はラブコメ寄りの文化部の話と言った方がしっくりきます。ラブコメ成分は欠かせないけど、あくまで主軸は仲間たちとのギャルゲー作りですし。


唐突ですが、ラブコメはケーキで例えるなら、「ラブ分」が「甘み」だと思うんですよね。
甘みが無いとケーキとしてなりたたないけれど、かといって甘過ぎるとしつこくて美味しくない。
理想は、程良く甘みを抑えつつその甘みを引き出す他の味覚、例えば酸っぱさな程良い苦み(シリアスとか)があった方が美味しい。そんな感じ。


あとは

主人公の行動力と原動力、その方向の一貫性がはっきり見てとれるのが良かった。
(一応)メインヒロインの恵とのファーストコンタクトのドキドキを、理想通りに運ばなかった物語をゲームの形で再現して作りたいという一本の軸がまったくブレない。
だからこそラブコメ成分は薄いですし、その代わりにモノを作ろうと奮闘する楽しさがあります。

まぁ、メインヒロインであるはずの恵が全然ヒロインしてないことがこのシリーズの面白さを支えてるのかもしれませんね。劇中でも言われてますけど、会話の安定感が抜群過ぎて全然ドキドキしない=ラブフィールドが発生しない!こんなラブコメは初めてかもしれません。


何だか

書いてて気付きましたが、私がこの作品に感じてる面白さはラブコメよりも、主人公と仲間たちのプロデュース・ゲームクリエイトの部分なのかもしれないですね。
最初に期待していたラブコメとはちょっと違うけれど、ゲームを作る部活動コメディとして良い意味で期待を裏切ってくれました。

個人的な印象としては、この作品はきゃぴきゃぴなあざとい演出のラブコメではなく、リアルよりでしっとり控えめな演出という印象なんですよね。
漫画も読みましたが、やっぱりちょっと漫画だとあざとい系の傾向が強いかな?


いや、ちゃんとラブコメもしてるんですよ?2・3巻の先輩と英梨々のエピソードはとてもニヤニヤでしたし。


総合

☆4つ。

うん、ラブコメの量は少ないけど質はいいし、物語としてちゃんと面白いです。
登場人物たちのハイスペックぶりを見てもよし、青春部活動モノとしてみてもよし、ラブコメとしてみてもよしと、かなり面白い作品です。
近々発売される4巻も楽しみにしています。