スイート☆ライン
- 作者: 有沢まみず,如月水
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2009/05/10
- メディア: 文庫
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有沢まみずさんの作品はみんな好きだというのに、感想書くのがこの本が初めてだった!
【ストーリー】才能ある人物を見るとひたすら応援したくなる熱血少年・花沢正午。そんな彼の隣りに新人声優の女の子・新島永遠が正午の姉に連れられ引っ越してきた。永遠は声優にもかかわらず、極度の男性恐怖症で彼女の半径3メートル以内に近づくと大変なことになってしまう。そんな問題児を見かねた正午の姉・真弓が一つの提案を持ちかけてきた。二週間以内に永遠の男性恐怖症を克服するため、正午と永遠を同居させるというのだった!
とってもスイートなラブコメディ、開幕!
有沢さんの書く作品は毎回安心して読める雰囲気がありますね〜
『銀色ふわり』のようなシリアスな作品にしてもそうなのですが、文章が柔らかいんですよね。そこが有沢さんの魅力の一つだと思います。
表出って言われている今回の新シリーズの注目点は、ライトノベルには割と珍しい声優をテーマにしている点ですが、それ以外にも実は注目すべきところがあって、それは主人公の正午が本当に何の特別な能力を持たず、普通の作品でいう「引き立て役」だというところです。
彼は(ヒーローという意味で)主人公のように自分自身が何かに没頭していくタイプではなく、才能のある人や実際に活躍している人物を応援する側の人間です。
この応援する側が主人公というところが私には新鮮でした。
ライトノベルの主人公というと、初めから天才か、落ちこぼれでスタートしたとしても最後には必ずと言っていいほど成功しますよね。
なかなか成功できない人が実際には多いからこそ、そういう展開が好まれるのでしょうが、敢えて「成功するはずだった」人である正午を持ってくることで、永遠という才能ある人間を応援する気持ち
(行け!永遠。お前の力を存分に)
見せつけてやれ!
こういう思いをシンクロさせることができるのだと思います。
そして永遠も男性恐怖症という弱さを持っていて、初めは逃げ回ってばかりいますが、それ以上に自分の夢を叶えたいという欲求をだんだんと見せてくれるようになり、読んでいるこちらまでも応援したい気持ちにさせられます。
全編シリアスっぽく書いていますが実に有沢さんらしい文章で、警戒心の強い永遠が少しずつ正午に心を開いていくのは、まるで臆病な子猫がだんだん懐いてきてくれるような可愛らしさがありました。
一巻の時点ではそれが保護者を見るような愛情なのか恋愛感情なのかはわかりませんが、同じ新人声優の神楽坂はるなが正午と仲良くしている場面を見てムッとするので、これからの展開が楽しみです。
それから、出番は少なかったものの何気にインパクトの強かった豊国さん。
何故か有沢さんの作品にはオカマキャラがほとんど出てきますが、豊国さんはまたちょっとタイプの違ったオカマさんで恐k…面白かったです!
とりあえず一巻での危機は何とかなりましたが、実際これからが本番のようですね。
2巻から少し雰囲気が変わるようですが楽しみにしています!