刀語 第一話絶刀・鉋
- 作者: 西尾維新,竹
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/01/10
- メディア: 単行本
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「戯言シリーズ」や「化物語」で有名な西尾維新先生ということもあって読んでみたかったんですよね〜。
【ストーリー】戦国時代、その者の打った刀の所持数で国の強さが決まるとまで言われた名刀匠・四季崎記紀。戦乱の時代が終わった現在の幕府は彼の打った刀の千本の内988本は集められたが、残りの12本の刀を集めることができなかった。なぜなら988本の刀は12本のために作られた前座のようなものだったからだ。幕府の命を受けた奇策士とがめは残り12本の刀を集めるため、幻の虚刀流の使い手であり大戦の英雄・鑢六枝に協力を得るために彼の住む島へ向かったが、そこで出会ったのは…
時代劇風と聞いていましたが、正直ぜんぜん時代劇という感じのしない作品でしたね。
雰囲気は多少江戸時代の片田舎という感じでしたが、キャラクター達が見事にそんな雰囲気をぶっ壊してましたw
「傷物語」を読んだことのある人ならわかると思いますが、あの雰囲気に近かったかな?
シリアスだけどシリアスになりきれてない感じですね。
背景は江戸幕府ができた頃をモチーフにしているようです。そうは言っても第一話の舞台はかつて英雄だった鑢六枝が島流しにあった島なので、登場人物もかなり少ないし舞台も狭いです。
まあ、第一話は状況説明とキャラクター紹介の部分が大きかったのでしょうがないんですけどね。
でも流石は西尾維新。キャラの掛け合いに関しては神がかって面白かったですね。
鑢六枝の息子であり主人公の七花ととがめが出会った時の話を引用すると
「そなた、天下が欲しくないか」
「いらん」
「そうであろう、それはこの世に生を受けたからには当然のことだ。(中略)人が天下布武を志すに躊躇する理由はない――ってえ、いらんのかい!」
相変わらずギャグのキレは最高w
西尾維新先生の持ち味、シリアスな場面のはずがいつの間にか笑っているという状況は多々ありました。
とにかくギャグとキャラクターに関しては文句なしですね。
簡単にキャラ紹介をすると
奇策士のとがめ
自称奇策士と言っている割にドジっ娘属性の持ち主。偉そうな口ぶりだけど、属性のせいで全然説得力が無い。でもそこが萌えポイントですね。いろいろと秘密のありそうな彼女ですが、とりあえず良いキャラしてます。
鑢七花(やすりしちか)
虚刀流第七代目当主。腕も確かでいつも落ち着いた雰囲気を見せますが、姉の七実とのヒエラルキーは明確。悲しいことに1巻の時点ではとがめのキャラが強いのであまり目立ってません。
1巻は状況説明と戦闘パートでやりとりは少ないですが、これから確実に面白くなりそうな気配はします。
ただ戦闘シーンに関しては疑問が。
最初時代劇のようなチャンバラなのかなと考えていましたが、主人公が刀を使わないし、敵の真庭蝙蝠もさすがに忍術って範囲じゃねーだろ!みたいなトンデモ超能力でした。
面白かったけど、純粋な剣客同士の戦いが読みたいと思って買った人にとっては拍子抜けだったかも。
敢えて名づけるならファンタジー時代劇ですね。
ちょっと辛口になってしまいましたが、ちゃんと楽しめましたし面白かったです。
まだ状況説明に割かれる部分が多いのでストーリーも何もないですが、とにかく西尾維新ファンなら確実に楽しめると思います。
でもマイナスポイントがでかい。
ちょっとメタ要素が入るのはいいとして、イラスト自体は雰囲気が出てて良かったけど見開きで読むテンポを崩されるのは編集のミスだと思う。
そしてとにかくまずいのが、講談社BOXなのに二段組みではないし、ページ数も201と少なめということ。
これなら文庫本で出した方がいいんじゃないか?
面白かったけど、これ一冊で1000円は高すぎると思う。しかも全12巻なんて、買おうという気を削ぐだけだと思う。
そこら辺編集部はどう考えているんだろ?
これで文庫化なんてしたら単行本集めた人が激怒するよ?