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ライタークロイス

ライタークロイス (富士見ファンタジア文庫)

ライタークロイス (富士見ファンタジア文庫)

【ストーリー】『帝国』には昔から東の海より魔物が現われ、それらを退治するために聖獣を召喚し戦う『騎士』がいた。平和な田舎町で育ったカインは小さい頃に騎士を見てからずっと自分も騎士になることを夢見て来た。そして騎士登用試験を受けられる17歳になったカインは村の人々に無理だと言われながらも騎士になるために帝国へと向かうのだった。


前々から読みたいと思っていたのですが、古本屋を探しに探した結果遂に見つけることができた一冊です!


いや〜、探した甲斐がありましたね!ものすっごく面白かった!
純粋なファンタジー小説でここまで面白いと思える作品に出合ったのは初めてですね!もっと早く読んでいればよかったのに!なんで読まなかったかな、自分!


これは魔物と戦い、人々を守る騎士に憧れる少年カインが帝国で様々なトラブルに遭いながらも、そこで出会った人たちの助けを借りながら試験に臨むというファンタジーでありながらも割とリアリティー溢れる物語です。

麒麟・蒼竜・朱凰・黒亀という四種類の聖獣を召喚し、魔物と戦う騎士という設定も魅力的ですが、この一冊の中ではほとんどその活躍は見られません。
ですがその騎士になるという夢を抱えた少年たちの戦いが面白かった!

試験といってもやってることと言えば競争のようなものですが、試験に至るまでの人々の行動を見ると、ライバルであっても協力して正々堂々と試験を受けるものもいれば、他の志願者を再起不能にしたり不正を働いたりするものもいたり、現代の受験や就職活動などのリアルさが漂っています。


主人公のカインは田舎育ちということもあって純朴で優しい少年ですが、騎士になるという夢を強く抱いていてとても好感が持てました。

――まあ、なんとかならなければ、なんとかするさ。

大抵のことにはこう言い、のん気なのか実力がある故の余裕なのか分かりませんが、本当に何とかしてしまうような強さもあります。

更には彼は他人に頼まれると断れない(悪く言えば騙されやすい)性格で、物語の中でもしょっちゅう騙されそうになってピンチになりますが、彼の周りにはずる賢いけれど仲間を大切にするレイク、無表情で厳しい言動のため冷たい性格に見えるけれど本当は面倒見がよくて優しい侍女のイングリドなど、彼の人柄が現れているかのように魅力的な人が集まります。


彼を取り巻く人たちの中でも、イングリドという侍女は素晴らしかった!

彼女は本来、カインが帝国で居候するはずだった家の侍女なのですが、ちょっとした事情でその家に立ち入ることができなくなってしまい、結果カイン共々宿場で下働きをしながら暮らすことになります。

態度・言動ともに冷たいので最初はちょっとキツい性格だな〜、と思ってしまいました。
しかし!物語が進めば進むほど彼女はどんどん魅力的になってきます!

冷たい言動の中にもカインを労わる優しさがあったり、試験前に不安で自信が持てなくなったカインをとんでもない方法で元気づけたりと、侍女の中の侍女――いや、ベスト・オブ・侍女とでも言えます!(頭悪い表現)
実際この侍女を雇ったらなんでも成功しそうな気がしますね〜。

「なんとかしてくださったじゃ、ないですか」

くっはぁああ!!誰か!誰かこんな女性を紹介してください!マジで!!


彼女のほかにももう一人、アルファ・イシュートという女性も魅力的でした。

話し方は所謂騎士言葉(「卿は志願者か?」など)で態度も貴族のような威風堂々としたもので、まっすぐな性格をしたカインを気に入ったのか度々関わってきます。

何故かイングリドとの仲が最悪ですが、彼女がイングリドと一緒にいるとイングリドまでいろいろな表情を見せてくれるので、二人が火花を散らすシーンは特に面白かったです。

また、彼女に関しては物語のキーを握っている存在でもあります。登用試験の前にカインにある決断を迫ったり、傍から見れば結構迷惑だと思いますがそれに応えるカインがやっぱりかっこいいです。


そして試験ではやはり順調に行くわけにもいかず、多くのトラブルに見舞われることになります。
その結果は…実際読んでみて頂きたいですね。



評価は完璧に☆5つです。
キャラクターの魅力に関しては散々述べましたが、物語の背景も魅力的です。
この巻ではとりあえず帝国だけでしたが、ラスト付近では周辺諸国の動きなど、かなり完成された世界観が見られます。

町の風景や人々の描写などは「狼と香辛料」に近い雰囲気ですね。若干「狼と〜」よりはファンタジーが強い感じもしますが、もし章の合間にロレンスやホロが出てきても違和感無いですね。…そう言えば作者の川口さんは「いけぬこの会」のメンツでしたっけ?


とりあえず手元には1巻しかありませんが、全部買うことを決定しました!
ファンタジー好きな人ならば一読の価値ありの作品です。