マルドゥック・スクランブル The First Conmpression 圧縮
マルドゥック・スクランブル―The First Compression 圧縮 (ハヤカワ文庫JA)
- 作者: 冲方丁
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2003/05
- メディア: 文庫
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【ストーリー】なぜ、私なの?――賭博師シェルの奸計により、少女娼婦バロットの叫びは爆炎の中に消えた。瀕死の彼女を救ったのは、委任事件担当官にしてネズミ型万能兵器のウフコックだった。高度な電子干渉能力を得て蘇生したバロットはシェルの犯罪を追うが、その眼前に敵方の担当官ボイルドが立ち塞がる。それは、かつてウフコックを濫用し、殺戮のかぎりを尽くした男だった…。
しまった…。全三巻一気に借りるんだった…。
●すげぇ!
何人もの少女を手にかけた賭博師に殺されかけた少女娼婦・ルーン=バロットと、死ぬ寸前だった彼女を助け、彼女を守る相棒となったネズミ型万能兵器・ウフコックの狂気と愛憎に溢れたSFアクションの第一巻。
事件は身寄りのない少女娼婦のバロットが賭博師シェルに殺されかけたことから始まります。
悲惨な人生を送り、生きる理由も見つけられずにいたバロットですが、瀕死状態の無意識のうちに生きることを選択し、その結果マルドゥック・スクランブル0・9と呼ばれる超特例の措置によって高度な電子干渉能力を得て蘇生。
自分を救ってくれたドクターと金色の卵のようなネズミ型万能兵器ウフコックの助けを借り、賭博師シェルを追い詰めて行く。
こういったストーリーが展開されていくのですが、とにかく色々と濃くてすごい。圧倒されました!
●scramble‐ごちゃ混ぜ‐
ネズミ型万能兵器ウフコックや蘇生したバロットが新たに得た電子干渉能力といったSF要素や近未来的な設定の数々。詩的に語られ、一見冷たさを感じるモノローグの中に潜む激情と、狂人というには余りに複雑なキャラクターたちの感情描写。そしてウフコック萌え。
ハードなSFアクションとしての魅力もさることながら、それ以外の深く激しい感情をもったキャラクターたちやバロットとウフコックのコミカルなやり取りがまた素晴らしいです。
ホントに一人の人間が書いたのか?なんて疑問に思うくらいキャラクター達はそれぞれ違う思想と感情を持って行動しているんですよね。実際に生きているかのようにキャラがリアルな感情を持っているように思えました。しかも彼らが生きているマルドゥック市内の風景がありありと頭に浮かんでくる文章によってそのリアリティに拍車をかけてますね。
かなりシリアスで決して明るい内容でもない、苦手な雰囲気のはずなんですが、なぜかどっぷりと物語に引き込まれて気づいたら読み終わってましたよ…。
●総合
ここで終わるんかいっ!!てな終わり方なんで取り敢えず☆4つ。
ストーリーに関してはこの一巻だけだと物凄いところで終わっていますね…。最近忙しくてなかなか図書館に行く機会が無いのが恨めしい!!すっごく続きが気になる終わり方してますよ、これ。
あと何気に気に入ったのが敵キャラにすっごい味があったこと。
フェティシズムのメンバーたちは外見はどこからどうみても変人、と言うかむしろ狂人なんですが、文章で見る限りでは別にそこまで耐えられないほどでもなく、どことなく変な愛嬌があるし彼ら視点で見る戦闘シーンが結構面白かった。
あ”〜早く続きが読みたい!