マルドゥック・スクランブル The Second Combustion 燃焼&The Third Exhaust 排気

【ストーリー】ウフコックのかつての相棒・ボイルドに追い詰められ、ウフコックを「濫用」し、自身共に大きな傷を負ってしまったバロット。傷ついた二人が向かったのはウフコックの生まれ故郷であり、バロットの電子干渉能力やボイルドの疑似人口重力などの技術が生み出された場所「楽園」。そこでバロットはシェルの犯罪を裏付ける記憶データがカジノの百万ドルチップ内に隠されていることを知り、ドクターとウフコックと共にこの事件の決着を着けるため、動き出す。

2・3巻を一気に読み終えてしばらくの間は劇中のことが渦巻いて離れなかったのに、いざその事を言葉にしようとしても何も出てこない…。それ程に深く、激しい物語でした。

マルドゥック・スクランブル」は全3巻というシリーズ物としては短い部類なのでしょうけれど、最終巻を読み終えたときには、1巻の他人の力で生かされているだけの弱々しいバロットが何年も昔のように思える程その内容は濃かったです。

その要因の一つはやはり登場人物たちが「生きている」から。


1巻の時から感じていたことですが、出てくるキャラクターたち全員に「一人の人間が生きてきた」臭いするんですよね。

バロットやウフコックは言うに及ばず、カジノでバロットに大きな影響を与えたベル・ウィング。バロットたち少女を殺そうとしたシェル・シェプティノス。そして最大の敵ディムズデイル・ボイルド。
彼らは固定された役柄に当てはめるにはあまりにも深いキャラクターですね。

あくまでこの「マルドゥック・スクランブル」という物語の上ではバロットとウフコックが主人公になっているだけで、視点さえ違えば誰もが主人公になり得るように思えます。



そして例のギャンブルのシーンには驚きましたね!
本来この本のジャンルはSFアクションのはずなのに、ギャンブルのシーンが2・3巻の中で1・2位を争う見所。2巻の終盤を読んでいる最中はこのことに疑問を感じていたはずが、いつの間にか戦闘シーン並に張りつめた緊張感にのみ込まれていましたよ。
銃を撃つかカードを引くかという方法は違えども、両方とも戦っていることに違いはないのですね。


ぶっちゃけると語られていた内容は殆ど理解できなかったのですが、バロットが一番成長し、ウフコックとドクターとの繋がりが強く感じられたので個人的にはベル・ウィングとアシュレイ・ハーヴェストとのシーンが一番お気に入りです。


総合

☆5つ…ですかね。

う〜ん…。この作品の深いところまで理解し、本当に楽しむには今の私では未熟過ぎな気がします。
何か面白いとか言う次元でなく、とにかく驚嘆しました。
この気持ちをうまく言葉に出来ないのが悔しいのですが、今の私の言葉で言うならば「名作と呼ばれる劇を生で見たような感じ」です。
まだまだ色々な経験が足りてないですね。


もうあと10年くらいしてまた読み返してみたいです。


この本を紹介してくださったがれさん、ありがとうございました!