狼と羊皮紙
聖職者になる夢を志す青年コルは、恩人のロレンスが営む湯屋『狼と香辛料亭』を旅立つ。ウィンフィール王国の王子に誘われ、教会の不正を正す手伝いをするのだ。そんなコルの荷物には、狼の耳と尻尾を有した美しい娘ミューリが潜んでおり――?
かつて賢狼ホロと行商人ロレンスの旅路に付き添った放浪少年コルは青年となり、二人の娘ミューリと兄妹のように暮らしていた。だがお転婆なミューリはコルの旅立ちに反対し、こっそり荷物に紛れ込み家出を企てたのだ。
『狼』と『羊皮紙』。いつの日にか世界を変える、二人の旅が幕を開ける!
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「狼と香辛料」のホロとロレンスの娘ミューリとコルが主人公の新シリーズ。
前作主人公の子供が新主人公ってのが結構好きな自分としては待望の続編。
先に結論言っちゃうと、『羊皮紙』も面白いけど『香辛料』が面白すぎた…。
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作中でもミューリに言われてますけど、権謀術数をめぐらす腹黒い化け物が渦巻く世界で、良い意味でも悪い意味でも純粋なコルがやっていけるのか、ぶっちゃけとても心配…。
でもロレンスとは毛色は違えども、支倉作品らしく、コルはちゃんと夢を追いかける主人公でした。
そして、ロレンスとホロの娘にして今作ヒロインのミューリ。ホロが文字通り老成した賢狼に対して、ミューリはお転婆な子犬な可愛さ。いやぁ、かわいいですわぁ…。
コルに対する好意を隠さない、コロコロ変わる明るい表情など、母親のホロとはまた違った可愛さがとてもイイ!
コルとミューリの、恋人には見えないけど仲の良い兄妹感は読んでいてほっこりします。
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前シリーズ同様、自分たちの知らない所でことが密かに進み、それに巻き込まれつつも、最後に逆転の一手を打つ、という展開は同じなんですが、ロレンスとホロのやりとりとか、謀略を知っているとどうしても物足りなさを感じてしまう…。
コルとミューリの若さは良く言えば初々しさを感じるのですが、悪く言えば未熟なんですよね。
『香辛料』で感じた、一介の行商人が商会同士の抗争や教会という大きな勢力を倒す、ジャイアントキリングが今回は薄い。
というのも、やっぱりロレンスとコルの経験値の差が大きいのかなぁ…。
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ちょっとネガティブな感想だったけど、面白いことは間違いない。☆4つですね。
登場人物の経験の差的にも、比べてしまうのは酷かもしれません。
『香辛料』と全くの別物として見るのは難しいかもしれませんが、前作を知らないor別物として『羊皮紙』を見れば十分面白いと思います。