真の仲間じゃないと勇者パーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました

 

 

 

 さぁ、スローライフを始めよう。元・最強の英雄による自由気ままな新生活!

「君は真の仲間ではない――」最前線での戦いについていけなくなってしまった英雄・レッドは、仲間の賢者に戦力外を言い渡され勇者のパーティーから追い出されてしまう。

「はぁ、あんときは辛かったなぁ」レッドが抜けた事で賢者達が大パニックになってるとは露知らず、当の本人は辺境の地で薬草屋を開業しようとワクワクした気分で過ごしていたのだが……「私もこのお店で働いていいかな? 住み込みで!」突如かつての仲間であるお姫様が自宅まで訪ねてきて!? 

”のんびり楽しい薬屋経営”、”お姫様とのイチャイチャ生活”、報われなかった英雄による素晴らしき第2の人生がはじまる!

 

タイトル長過ぎィ!

(正式略称とかないんすかね)

 

タイトルの割に()地道というか、突飛な設定ではなく描写で勝負する良作でした。

なろう系は良く知らんのですが「パーティー追放系」?らしく、敵と戦わず、辺境の田舎で地に足付いた生活を試みる元英雄の話。

 

何が良いかって、話の節々から主人公レッドの人の好さが滲み出てるとこ。

初期こそ勇者パーティーの導き手だったけど全員のレベルが上がって「これからの戦いについていけないだろう…」まで言われてたレッドだけど、戦闘で十分役に立てないとわかっても面倒な外交だったり、辛い旅の中せめて食事くらいは楽しみをと料理頑張ったり、損な役割を進んで引き受けたりとか…。

自分に出来ること、仲間のためにできることを必死で実行してて、それでいて自己評価低いから泣けてくる…。現実にもこういう人いるよなー(´・ω・`)

そんでもって嫌味ったらしくないし、ウジウジせず「しょうがない」で済ませるからマジ報われてほしい。

レッド脱退後の勇者パーティーが案の定上手くいってないのは当然。いや俺はあいつを評価してたんだとか言っても遅いわボケと。そういう蔭で支えてくれている人にはちゃんと言葉と態度で感謝しないとだめやろー。

 

そんな可哀相なことばかり書いてますけど、本編はそんなレッドさんを肩書とかじゃなく人となりを理解してくれる人々に囲まれて報われるので安心。

 

そんでもってヒロインのリットがいいんだなぁ、これが。

 

『ツン期の終わった元ツンデレ

 

この最強属性を1巻から出せる作者が本当にすごいと思う。

言ってみれば最終進化系をしょっぱなから出すようなものですよこれは!

上記の通りレッドさんは報われてほしい属性持ちなんですが、最初はやっぱ要らない子扱いでしょぼくれてたんですよ。そこにツン期に散々フラグ建てまくったヒロイン(デレ期)が来るんだから、もうね、たまらんでしょう。

役に立てなかったと自己否定するレッドを片っ端から肯定しまくるリット。しかもそれを裏付ける出来事を二人で回想して、いちゃつくんだからなぁもう。

レッドが報われて良かったと思う安堵とリットの献身的で純真な想いがこの作品一番の魅力。

あ、永久就職先を見つけたリットさんの幸せモードが特に可愛すぎ。

「んふー、いただきます」

の破壊力よ…!

 

☆4つ。癒される?報われる?感が心地よいね。

主人公サイドの裏で微妙に剣呑な雰囲気が漂ってるのが不安要素ですが、二人にはこのまま幸せ家族計画まで行ってほしい…。