オトコを見せてよ倉田くん!
- 作者: 斉藤真也,フミオ
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2009/10/23
- メディア: 文庫
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【ストーリー】倉田優樹は朝は近所に住む中学生の愛衣に起こされ、愛衣の親友である小夜には「優兄さん」と呼ばれるそれなんてギャルゲ?的な生活を送る高校二年生。
ある日小夜に頼まれパソコンの修理をしに彼女の家に訪れた優樹はアクシデントで小夜の「ある秘密」を知ってしまう。
口封じとして殺されそうになるが小夜と婚約することで一命を取り留める。が、翌日は愛衣の秘密を知ってしまい、同様にして彼女とも婚約の約束を誓うことに!こうして年下の親友同士と付き合うスリル満点の二股ラブコメが始まった。
●MFの新人賞は…
どうも前々からMFの新人賞はハズレが多い感じていたのが今回で確信に変わりそうです。確かに面白い新人さんもいますけど、あまりにリスクが高い…。
他の出版社と比べるとラブコメ中心の社風で被る作品が多いからなのかな?
…これからMFの予定外の作品は購入を控えようかしら。
●ヒロインは良かったよ
中学生の女の子二人(しかも二人は親友同士)と付き合い、その間でオロオロする主人公という珍しいラブコメでした。
キャラクターの設定や主人公との関係と『二股』ということでツンデレとヤンデレ、二人の個性的なヒロインが見所だったかなぁ。若干難有りな部分もありましたが。
「将来負け組確定の駄目人間を、この愛衣さまがわざわざ起こしてあげたのよ。普通は喜び、感涙泣き叫ぶことろでしょ、ここは」
俺はもう一度溜息をつき、もらった手紙の封を開ける。
内容は、彼女が記した結婚計画書だった。小夜ちゃんが中学を卒業後すぐに籍を入れ、身内と親しい友人だけの地味な式を開く。
新居は彼女の家の離れを使い、翌年には男の子を、その後は女の子が二人で、女の子はできれば双子を希望。そして、子供たちの名前候補リストが便箋を三枚使って書かれていた。
上のドS女王様発言が愛衣で、下の優樹を人生の墓場に引きずり込む気満々なのが小夜です。
とまあ、こんな感じにヒロイン二人はツンデレやヤンデレというテンプレートなキャラとは一味違った魅力があって良かったんですけどいかんせん、主人公の優樹がどうしようもない…。
●ラブコメの主人公ってさー
おとなしく大和撫子な小夜の秘密を偶然知り、死か婚約かという男的にはどっちも墓場な選択を迫られた揚句死にたくないから婚約を決断。ところがその翌日には同じようにして小夜の親友であり、自身も幼馴染のドS金髪美少女の愛衣の秘密を知って婚約を誓う!
でも本人的には年上の女性が好み。
いろいろ端折って事実だけ書くとすげぇ主人公だ!
作中で主人公自らいってますが、ここまで最低な主人公も中々珍しいですね。
某学校の日々の主人公並にムカついたよ!例の如く彼を好きになったヒロインたちの気持ちが一切理解できない。
設定の部分では良い線いっていたんですけど、この主人公はダメ!
自分のことばかり考えていてヒロインのこととか全然考えてないし、言ってることが薄っぺらい。
最初から最後まで優柔不断で良いとこ無しだし。
ホントに「オトコを見せてよ」と言いたくなる主人公でした。
個人的に主人公に魅力の感じられないラブコメはかなり厳しいですよね。
やったことはありませんけどギャルゲなら主人公自身が没個性的で魅力がなくても良いんだと思います。ヒロインたちとのやり取りを楽しむことが目的なのだから、主人公というフィルターはできる限り透明であった方がいいんでしょうし。
でもこれは「小説」という物語なのだから、主人公も登場人物の一人として魅力が無ければダメじゃね?なーんて思いました。
●総合
☆2つ。危うく途中でギブアップするところでした…。
主人公のヘタレさもですが、せっかくのヒロインたちの設定を活かしきれてないんでキャラクターに無駄が多く感じてしまいます。あとは人物描写ばかりで風景とかが全く頭に浮かんでこないところとかも残念。
素材の選び方は上手なので、これからの成長に期待します。