烈風の騎士姫

烈風の騎士姫 (MF文庫J)

烈風の騎士姫 (MF文庫J)

【ストーリー】負けず嫌いだけど臆病な少女・カリーヌは、幼い頃に騎士に助けてもらってから騎士になることを夢見ていた。しかし、魔法衛士隊に女性は入れない。そこで名前をカリンと改め、性別を偽り王都へ向かった。
ところが、王都に着いた早々にサンドリオンという冷たい雰囲気の男に事実上負けてしまう。負けたままで故郷に帰れない!と意気込んで衛士隊に志願し、見習いとして採用されるが、世話係となったのはあのサンドリオンだった!しかも彼とはこれから寝食を共にしなくてはならない!
カリーヌ改めカリンは女ということを隠し、憧れの騎士になれるのか!?


おぉっ!?予想以上に面白い!


スピンオフではありません

魔法の世界を舞台にした、男装美少女が騎士になるという夢を叶えるために色々奮闘する冒険譚。
一応明言はされていませんでしたが、おそらく「ゼロの使い魔」と同じ世界ですし、主人公のカリーヌ(カリン)はルイズの母でしょう。

でもスピンオフ作品という枠には収まらない面白さがありました!設定の方も殆ど独自のストーリーなので、「ゼロの使い魔」を読んでいない人でも十分楽しめると思います。


騎士に憧れる美少女カリンと、魔法衛士隊の隊員サンドリオンと彼の親友であるナルシストバッカス。この四人のどこかシリアスで、またどこかはコメディ雰囲気がとても愉快でした。


男装の美少女と愉快な仲間たち

いやぁ、カリーヌがかわえぇ…。

幼い頃に助けられた騎士にかけてもらった「勇気」の魔法のおかげでここぞという場面は強気になれるものの、根は臆病な少女カリーヌ。
彼女がサンドリオンや彼の仲間たちと出会い、様々な経験を積んで徐々に本当の勇気を身につけていく成長も読んでいて楽しいのですが、時に見せる女の子の部分が普段とのギャップも相俟って相当キますね!

酔っぱらった彼に押し倒された時の表面上は嫌がってもどこか嫌がっていなさそうなところは、ちょっと純情っぽいルイズを彷彿させますし、それ以降彼のことが気になって仕方ない態度がツンデレとはまた違った魅力が!

正直ルイズよりも彼女の方が個人的にストライク。あとがきからしてヤマグチ先生とはうまい酒が飲めそうだw


それと彼女のライバル兼パートナーのサンドリオンもクールで実力もありながら、飲んだくれ・肝心なところで鈍感といった欠点がまた良い塩梅にカリーヌの可愛さを引き立てています。

彼の親友ナルシスとバッカスも「ゼロと使い魔」のギーシュやマリコルヌのように、変なヤツだけど愛すべきバカと言う感じで良かったです。


サンドリオン

一応メインの主人公はカリンですが、彼もこの物語のもう一人の主人公です。
彼はかつて将来を誓い合ったカリンとは別の「カリーヌ」という女性の影を引きずっています。


様々な不幸が続き、現在ではゴロツキのような者しかいない魔法衛士隊。それに反し段々頭角を現してきたエスターシュ大公のユニコーン親衛隊。

こんな感じでエスターシュ大公は明らかに黒なので正直そこまで気になる話でもないんですが、彼に従うノワールという女性とサンドリオンの過去の複雑な絡みの方が気になります!


総合

限りなく☆5に近い☆4つです!
特にラストのカリンが本当の勇気を出したところは熱くなりました!というか惚れた!


ゼロの使い魔」も長編になってきてそろそろ新鮮さが無くなってきたなー、そろそろ新しい話が読みたいなー、なんて頃にちょっと視点を変えた物語を入れることで再燃焼。正直驚きました。
タイミングの良さもさることながら、この本単体でも十分面白いんですよね。
改めてヤマグチ先生の凄さを体感しました。


ゼロの使い魔」も次の巻も楽しみにしてます!