機巧少女は傷つかない1

機巧少女は傷つかない〈1〉 Facing

機巧少女は傷つかない〈1〉 Facing "Cannibal Candy" (MF文庫J)

【ストーリー】魔法が兵器として存在する20世紀のイギリスはロンドン。ここは<イヴの心臓>と呼ばれる魔術回路でまるで人間のように感情を持ち、行動する自動人形を扱う魔術師たちの最高学府『英国ヴァルプルギス王立機巧学院』のある機巧都市。
少年・雷真は学院トップの座「魔王」を賭けて戦う「夜会」に参戦するため、自動人形の少女・夜々を引き連れ日本からやってきた。そして夜会参加資格を得るために次期魔王候補と呼ばれる少女・シャルに決闘を申し込むが、思わぬ邪魔が入り…。

特殊な能力を持つ自動人形と共に戦う、ちょっと変わった学園異能アクション。

とは言っても、しょっちゅう戦闘が繰り返されるようなものではありませんでした。


『夜会』への参加資格を得るため、次期魔王候補のシャルに戦いを申し込むも邪魔が入り中断。いざこざの中、何だかんだでシャルとはお互い認め合う仲に。
ところがその後、風紀委員長から<魔術喰い>事件の犯人探しに協力してくれれば『夜会』へ推薦しよういう取引を持ちかけられ、犯人を捜すことになるのだが、<魔術喰い>の一番の容疑者はシャルなのだった。

といった感じに、基本的には遥々日本から転入してきた少年・雷真(らいしん)と彼に従う自動人形・夜々(やや)が、ヴァルプルギス学院内で起こっている<魔術喰い>事件の犯人を追うというミステリ風味な展開が主軸ですね。

次から次へと怪しい奴は出てくるし、知らない間に外堀を埋められているような不気味な展開にハラハラさせられる上にそれぞれ特殊な能力を持つ自動人形同士の戦闘も中々読み応えがありました。


でも個人的には

合間合間に挟まれるコメディパートがお気に入り。

キザで二枚目なのに周りの女の子に振り回されっぱなしの雷真や、そんな彼にゾッコンLOVE(死語)で微ヤンデレな自動人形・夜々とか、一癖あって面白いキャラが沢山登場します。「設定上の性格」だけでなく、色んな表情があって良い意味で人間らしさが出ていました。

というか夜々は仮にも自動「人形」なのに人間以上に感情豊かですげぇ面白いですw

「魔術師たちが覇を競う、血塗られた闘争の宴…」
「ああ。アテにしてるぜ、夜々」
「はい。雷真のためなら、たとえ火の中、お布団の中」
「布団の中には入ってくるな」
「それは、いわゆる、青か…」
「おまえ今何て言った?清純そうなツラして何て言った?」

こんな感じに一々話をソッチ方面に持っていこうかと思えば、雷真が他の女の子に付きっきりだと真っ当な嫉妬をする(偶に病みますが)可愛い一面も。

それに会話のテンポとかノリがまた素晴らしいですね。シリアスパートからコメディパートへの移り方が神がかってますw


でもちゃんとシリアスな場面では引き締めてくれますので雰囲気が壊れるといったことはありません。切り替えがハッキリしているんでとても読みやすいですね。

シャルの態度が段々軟化していく展開や、雷真の人形に対する態度など人物描写も素晴らしいです。


総合

いやぁ、やっぱり海冬先生の作品は面白いですね。☆4つ。
とにかくこの先生の描くキャラは描写も合わせて大好きです!

魔法バトルモノは結構ゴリ押しな展開もありましたが、それでも十分楽しめました。
次巻も期待しています!