死にたくなければ××!1&2

死にたくなければ××!  脱ぐのは絶対にイヤ! (一迅社文庫 は 5-8)

死にたくなければ××! 脱ぐのは絶対にイヤ! (一迅社文庫 は 5-8)

死にたくなければ××! 2 ヌルヌルは堪忍して! (一迅社文庫)

死にたくなければ××! 2 ヌルヌルは堪忍して! (一迅社文庫)

【ストーリー】大地を魔獣たちが闊歩する混沌の異世界。
 カムトにとって姉のような存在だったホトリが魔獣狩人「ファルコネット」になるため孤児院を旅立ってから5年が過ぎた。
 姉と一緒に戦いたいとファルコネットになるため浮遊都市プテロポリスの学院へ向かったカムトだが、そこで再会したホトリは優雅さの漂う美少女に変貌していたのだが…え、自分はホトリではなくてその妹だって?!


てっきり既に感想書いてたと思い込んでましたわー。


●待ってました!

「土属性はダテじゃない!」でおなじみの葉原鉄先生の新作。
 
以下、簡単なあらすじ。
 特殊な能力を持つ魔獣が世界各地に跋扈する世界。人々は魔獣から採れるエーテル器官を用いた特殊な猟具「フェザリングギア」を使い、魔獣に対抗してきた。主人公カムトは同じ孤児院で育ち、魔獣を狩る「ファルコネット」となったホトリを追い、同じ道を歩もうとする。

 あらすじをみると、終末感溢れるドシリアスな話に思えますが、実際は
 

一狩り行こうぜ!

みたいなハイテンションなキャラばっかなせいで全然悲壮感とかないですねー。

 元々葉原氏の作品はシリアスであっても、それ一辺倒な雰囲気にならないところが良いところだと個人的には感じてます。というか、ギャグ(コメディ)・シリアス・エロが素晴らしいバランスで配分されてるのが一番好きですね。


●登場人物たちは

一言で言えばみんな濃い!

 主人公のカムトは貧民街の孤児院育ちで良い意味でも悪い意味でも逞しい精神を持ってて、そんな彼と対になるような優等生・真面目・目立ちがりやな性格のシズと良い感じにド突き合ってるのは見ていて楽しいです。カムトとは同じ孤児院で育ち姉的な存在でシズの実姉でもあり、見た目に反してド突き合う二人の保護者ポジションのホトリも加え、何とも奇妙で面白い三角関係ですね。

 いつもは泰然自若(のんびりとも言う)な外見はロリ中身は大人なホトリが、自分を追って頑張ってきたカムトにちょっとだけくらっとくるシーンは個人的にベスト(えっちぃ展開でしたし)。あとはホトリのことになるとちょっと変態っぽくなるシズも、やっぱりこの作者のキャラクターだなぁと思わせますね。

 全体的にまだまだラブには程遠いように思えますが、ちょくちょくラブ臭が漂うシーンがむしろこれからの展開を期待せずにはいられない!

 他にもどこぞの鈍器ラノベには及びませんが、次から次へと(色んな意味で)濃いメンツが続々と登場して世界観に見合わず、随分と賑やか。というかモブキャラがモブにするには惜しいくらい濃いんですよねー。あ、カワカミンの作品群もそんな感じでしたね。


●賑やかな中にも
 
 ずっと魔獣に怯え、目の前で両親を殺されてしまったシズと、そうなる前に助けることが出来なかったホトリの話などちょくちょく真面目な話を挟んでくるから卑怯ですよねぇ。


 特にカムトの苦悩や必死さは、いつも飄々としている分とても響いてきました。頑張れば頑張るほど、憧れのねーちゃんであるホトリやシズがどれだけ凄い位置にいるのか痛感し、対して自分は貧民街の孤児で、大した才能も能力もなくて、二人に置いていかれるような焦りと苦悩が感じられて辛いですね。
 それでもと必死に考え、追いつこうとするカムトは、タイプは違えどもやっぱり「土属性」と同様に熱い主人公なんだと感じました。


●総合

☆5つかな。
色々粗はあるのかもしれませんが、個人的には大好きなシリーズです。
最近徐々に人気作品の出始めている一迅社文庫ですが、その中でも屈指の面白さを誇る作品だと思います。

2巻が出てからしばらく経つので、そろそろ3巻かな?次の巻も期待しています。