異能バトルは日常系のなかで1+2

異能バトルは日常系のなかで (GA文庫)

異能バトルは日常系のなかで (GA文庫)

異能バトルは日常系のなかで 2 (GA文庫)

異能バトルは日常系のなかで 2 (GA文庫)

【ストーリー】異能に覚醒めた俺たちは、全力でこの日々を遊ぶ――。
だがそれだけじゃない新・異能バトル、始まる!!
俺を含めた文芸部の五人は半年前、とてつもない能力に目覚めた。
そして壮大なる学園異能バトルの世界へ足を踏み入れ――なかった!?
「なんも起きねえのかよ!」
異能に覚醒してみたものの、日常は完全無欠に平和だ。世界を滅ぼす秘密機関などない! 異能戦争もない! 勇者も魔王もいやしないっ!
だから俺たちはこの超級異能を、
「黒炎の龍にヒゲ生やせたーっ!!」
気軽に無駄遣いすることに決めた。
だが異能バトルに憧れ続けた俺には分かる。真なる戦いの刻が......。
「はぁ、バッカじゃないの?」
神スキルとたわむれる何気ない日常。


良い感じにゆるいわー。


今流行りの?

厨二主人公による部室内ダベリ系コメディ。イメージとしては「生徒会の一存」系「おれと一乃のゲーム同好会活動日誌」亜種って感じかなー。「一乃〜」ともろ設定被ってね?とか言わないの!

こちらは基本的にラブ成分は案外控えめで、その手の作品ならラスボス級であろう時間操作とか五大属性の異能の力があるにもかかわらず、やってることは部室でダベってるだけ。かつてここまで異能の力を無駄に使った作品が今まであっただろうか…。
ちなみにまともな異能を持つのは感性が一般人なヒロインたちだけで、一番異能が欲しかったであろう邪気眼の主人公・安藤は体温程度の炎しか出せない、というショボイ能力です。でも一番楽しんでるのも安藤かもしれない…。


とにかく

会話劇が面白い面白い。4人のヒロインのそれぞれの能力に字面と読み方を変えてちょっと凝った名前をつけたり、パロネタ全開トークを繰り広げたり、安藤とヒロインたちのメタメタしい会話のキレが半端ない。
厨二講座とかラノベトークとか分かる人にはわかるネタににやにやしっぱなしでした。字面とは全然違う意味なのにそれっぽく思える読み方(ルビ)の二つ名トークとか思わず感心しました。

「『上の句』『下の句』は、別にそこまで意識しなくても大丈夫ですね。『上の句』『下の句』あくまで目安ですから、無視しても問題ないです。たとえば、それらを無視した例を上げますと」


『狂獣-ライオンキング-』


「いやー、いいですねー」

特に恒例化してきた灯代いぢりは良いですねぇ。

普段は安藤をバカにしている筆頭なのに、実は自分も元厨二病で現在も後遺症を引きずっててちょくちょく
「後悔しても遅いわよ。さあ―――時の狭間に閉ざされて、永劫に彷徨い続けるがいい!」
とか一人妄想劇をみられてしまう、隙だらけな彼女のギャップが堪らないです。

灯代一人がヒロインの中でズバ抜けて目立ってますが、幼馴染で厨二を全く理解できない一般人の鳩子、サブカルネタにそれなりに対応してるので絶妙な振りが冴える彩弓、純粋であるが故にさらりと毒舌を吐く千冬。
案外ラブ成分抑えめですが、だからこそちょこっとそれを匂わせる展開が引立つと言うもの。コメディだけじゃなく真面目なパートの会話も中々的を得ていて読み応えがありました。


まとめ

☆四つ!メメタァ!なネタが多いですが、受ける印象はそれほどしつこくなかったですね。
キャラの魅力がとても活かされてる会話もですが、余計なシリアスは極力カットしてるのも個人的には良かったかな。このままシリアスは番外編にまかせてコメディ路線をつっきって欲しい。

次の巻も期待しています。