戦闘員、派遣します!

 

戦闘員、派遣します! (角川スニーカー文庫)

戦闘員、派遣します! (角川スニーカー文庫)

 

 世界征服を目前にし、更なる侵略地の先兵として派遣された戦闘員六号の行動に『秘密結社キサラギ』の幹部たちは頭を悩ませていた。侵略先の神事の言葉を『おちんち○祭』と変更するなど、数々のクズ発言。さらには自らの評価が低いと主張、賃上げを要求する始末。しかし、人類と思しき種族が今まさに魔王軍を名乗る同業に滅ぼされると伝えられ――。
「世界に悪の組織は二つもいらねぇんだよ!」現代兵器を駆使し、新世界進撃がはじまる!!

 

このすばだこれ!

 

ハイテンポなギャグとキャラの掛け合いが完全に「このすば」。いやわかってたけどね。

主人公の戦闘員6号は実力があって童貞捨てた(ような)カズマさん。メインヒロインスノウは金と出世欲とSに目覚めたダクネスめぐみんの悪ノリと頼れる相棒部分をアリス、中二成分と可愛い部分がロゼ。そしてよくわからないグリム。

メインのパーティーたちもポンコツ凸凹でぶっちゃけ結構似てるというか、悪い意味ではなくどうしてもスターシステム的に脳内再生されてしまうレベル…。

 

ストーリーもこの作者らしい、王道でありながらも王道をぶっ壊すようなメチャクチャな展開。

世界観的には一応SF+ファンタジー。主人公こと戦闘員6号とアンドロイド(ガイノイド)のアリスは地球をほぼ支配した悪の組織キサラギに所属し、支配圏を伸ばすため別の惑星へ先兵として送られた…といえば聞こえはいいけど、世界征服終わると戦闘員削減されるからブルーオーシャン戦略的にムチャぶりで安全保障も無くファンタジー異世界みたいなところに放り込まれるところからスタート。

 

まぁ大筋としてはあらすじの通りだけど、敵ボスを脅すわ女幹部とみればモノ質をとって嬲るわと、この作者の主人公らしくド外道なやりかたで進撃していくのはやっぱ面白い。そしてまともそうに見えたパーティーメンバーも主人公に感化されて徐々に全員外道行為でキャッキャしててヤバイ。もーまともなフリすんのはやめて外道パーティーとして割り切っちゃえばいいのに。

 

ある意味異世界チートギャグなんでシリアスな展開でも全然悲壮感はないです。でも主人公が絞めるべきところで絞めてるんで変な中だるみが無かったのは良かった。

ただ、このすば1巻でも感じたことだけど、まだまだ世界観やら人物の扱いがウォーミングアップ中かなと感じました。というのも、キャラ同士にまだ遠慮があるというか、そこそこの人数出てるんでスポットあたるキャラが少ないので、イマイチキャラが捉えられない…。

ぶっちゃけ戦闘シーンがとにかく見栄えしない…。悪い意味でふつーに強いんだもの…。

現段階だとロゼとグリムの戦闘シーンがとにかく地味!6号も実力があるからこそ戦闘方法に意外性がなくてなぁ。あ、スノウは一番ポンコツでした。

どうせならもっと鬼畜に!敵女幹部を嬲るシーンの方が作者も力入ってし!

 

表面的な属性じゃなくて、会話劇から徐々にキャラの素の部分が見えて、それからがこの作者の本領だと思うんで、おそらくこれからが本番かなー?

 

どうしても現段階だと引き合いに「このすば」が出てきてしまうのがちょっと残念だけど、徐々にこのシリーズならではの味が出てくるのを期待。