子守り男子の日向くんは帰宅が早い。

子守り男子の日向くんは帰宅が早い。 (角川スニーカー文庫)

部活はなし、勉強も授業中に全力集中、友達付き合いはどこか他人事――高校生・新垣日向の放課後は両親の手助けと最愛の妹・蕾の育児のためにある。……学年のヒロイン・芹沢悠里が彼の子守り事情を知るまでは。
兄妹仲の良さと学校とは違う活き活きとした日向に魅了された悠里。放課後は新垣家に行き、週末は3人でデート。さらに天然陽キャ女子・恵那唯やクール系美少女の後輩・上月日和も絡んできて、日向の放課後は一気に賑やかに!「私は日向君に楽しい学校生活を送ってほしい」「“師匠”って呼ぶね!」「好きです、先輩のこと」

蕾ちゃんが天使

妹の世話に全力を尽くす男子高校生の青春。

タイトルに偽り無し!

「妹の世話する俺カッケー!コミカルラブコメ」路線で来ると思ってたら予想以上に真面目な話で驚いた。
とは言え「家庭崩壊!俺が妹を護るんだ…!ドシリアスドキュメンタリー!」みたいな悲壮感溢れる話でもなく
真面目に高校生で子供(妹)を育てつつ、自身の青春を見直すというのが本筋。

テーマは結構重めなのにちゃんと青春モノとしての葛藤や悩み、爽やかさが感じられる良作。
作者も書いてる通り妹の蕾ちゃんがあり得ないくらい良い子ということと、主人公の日向くんが聖人だからこそではありますね。
別にそれで話が薄っぺらくなる訳では無いですし。
学費(金)の重さだとか子供の危うさ、親の有り難みを理解してる男子高校生はファンタジーではありますが
そこに気付くシーンは中々に説得力があった。子供って危険を理解していないから危ないことをためらいなくするし、怖い話ですが簡単に命を落とすこともあるんですよね…。


日向くんの魅力は自分の意志で妹の世話することを選んでいるとこだなと。
親は何しとんねん!と最初は思いましたが、別にやらざるを得ない立場にあるってわけでもなく、日向くんはむしろ自ら望んでるのが意外だった。
別に年相応に普通の青春を送ることを否定してもいないし、ただ自分が家族の一員としてそういう役割を担いたいというスタンスなだけなんですよね。
親のスタンスも、申し訳なさを感じつつ日向自身に自分の道を考えさせるモノだったので理不尽さも感じなかったなぁ。

そんなストイックな日向も悠里と出会って、年相応の青春らしい甘酸っぱい体験をして改めて自分はこのままでいいのかな?と思い悩むのも青春だなぁ!
決して何が悪いというわけでなく自分が何を選ぶのか?その先に何があるのか?そういった青春らしい悩みを通して成長していくある意味青春モノとしては王道は外さないとこ、好き!



☆4つ。思ってたよりちゃんと悩んで、甘酸っぱい青春してた!
1巻だけだとラブは控えめですが、芽はすっごいあちこちにあってこれからが楽しみ。
もちろん「子守男子」という魅力もまだまだみたいところ。ベタですけど蕾ちゃんに異性の友達ができる、とかも面白そう…。