クラスメイトが使い魔になりまして

クラスの美少女を侍らせてみたい。
誰もが一度くらいは考えるんじゃなかろうか。でもまあ、正直オススメしない。
落ちこぼれ魔術師の俺、芦屋想太には藤原千影という使い魔がいる。彼女は魔術師の名門出身で、ついでに誰もが憧れる学年一の美少女だ。
え、羨ましい? まじか、じゃあ譲ってやるよ。
まず、こいつはご主人様に求める理想が高い。負けん気が強く、中々反抗的で、絶望的に貧乳だ。
それでもいいならぜひ引き取って……あ、うそ! 許して、藤原さ―――
この物語は主従関係からはじまる、ふたりの恋(?)のヒストリー……らしい。


ポップなラブコメに見せかけて実はヒロインたちの愛が結構重い…。


予想以上にちゃんと魔法学園モノ。
起きてること自体は割りと深刻なんだけど、主人公が態度も口も吹っ切れてるおかげで陰鬱な雰囲気がぶっ飛んで「おや?これはもしかしてギャグなのか?」と軽快にスラスラ読める。
この主人公、自分で言うように実力自体は大したことないのに、とにかく口が回る。
全く敵わない魔人や絶体絶命のピンチを前に吹っ切れて、罵倒するわ煽るわ口撃のマシンガンが炸裂。かと思えば手の平クルーして命乞い。
口撃と変わり身の速さは一級品や!

でも思考回路は至極真っ当で、後に語るヒロインたちと比べると実は一番まともだったりする。


そしてヒロインズ。
主人公を過大評価しまくるところに違和感がありましたが、理由はすぐ推測できるし主人公とのやり取りが面白いので全然不快さは感じなかったですね。
それよりも目立つのはそれぞれの主人公への愛が拗れっぷり。
メインの千影は偶然使い魔になってしまった不幸を嘆く風を装ってガンガン外堀埋めてくるし、生徒会長は外的排除性ヤンデレだし、幼馴染メガネっ娘は悪友を装って距離感近付ける痴女。
唯一まともそうな親友(♀)も、あからさまな好意があるけどここまで来ると絶対やべぇヤツだと邪推してしまう…。使い魔がサキュバスだし。
そんでもって魔人さん。思いっきりメンヘラちゃんじゃないですかやだー!

でもそんなめんどくさそうなところが魅力的。いいぞもっとやれ!


とりあえず1巻でちゃんと一段落着いて、物語としてはここからようやく始まるって感じなのかな。
主人公を巡ってヒロインたちや各陣営が動き出すんでしょうけれど、魔人さんにはまた出てきて欲しいし、主人公とヒロインたちの掛け合いはこのまま続いていってほしいな。
とりあえず続刊は決まっているようなので期待。