賭博師は祈らない
十八世紀末、ロンドン。
賭場での失敗から、手に余る大金を得てしまった若き賭博師ラザルスが、仕方なく購入させられた商品。
――それは、奴隷の少女だった。
喉を焼かれ声を失い、感情を失い、どんな扱いを受けようが決して逆らうことなく、主人の性的な欲求を満たすためだけに調教された少女リーラ。
そんなリーラを放り出すわけにもいかず、ラザルスは教育を施しながら彼女をメイドとして雇うことに。慣れない触れ合いに戸惑いながらも、二人は次第に想いを通わせていくが……。
やがて訪れるのは、二人を引き裂く悲劇。そして男は奴隷の少女を護るため、一世一代のギャンブルに挑む。
4巻一気読み。
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当初天才賭博師が奴隷の娘に惚れて無双する話とおもってましたが
これは、シリーズを通して賭博師としてしか生き方を知らないラザルスの賭博師という生き方に対する葛藤の話だったんですね…。
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「勝たない」「負けない」「祈らない」。
ラザルスは養父のそんな教えにしがみつくような、それこそ神の教えかの如く守ろうとするんですよね。
皮肉みたいだけど、聖職者から程遠いのに、その生き方は敬虔な信徒の様。
でも、このままだといずれ倒れることに理性では納得してるかのようだけど、無意識に怯えてる。
そこに、リーラとの出会いで更に葛藤が生まれてるんですよね…。
BLACK LAGOON日本編の「生きようとしたな?」に通ずる、生きようとしない、自分の生命すら賭けの対象とするような冷酷さ、その強さが、生きたいと思い始めたことで揺らいでる。
1巻単体でみるとハッピーエンドに見えるけど、実は1巻がラザルスのそれまでの生き方の崩壊が始まっていたんですね…。
そんな賭博師としての生き方と内心の想いの板挟みにずーっと苦しんでいたのが、最終巻手前の4巻でようやく"その先"をうっすら掴めるようになる。
そこに気がつくまで、なんでラザルスはこんなに悩んでいるのか、何かから逃げるように「どうでもいい」と口癖を繰り返すのか、不思議でした。
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賭博や駆け引きの緊張感もさながら、繰り返しになりますが、聖職者とは対極な生き方でありながら、その純真さは聖職者そのものなラザルスの葛藤にとても惹き付けられました。
5巻で完結とのことですが、どうか彼の生き先に幸いがありますように。
たんかん!Vol:8
短い感想、略して「たんかん!」
コミックオンリー編
● 「あの人の胃には僕が足りない」
お!オネショタグルメものやんけ!と飛びついた けど大いに良い意味で裏切られた一冊。本気でグルメものだと思ってたから、初見時16P(?)のインパクトがすごかった。
一言で表すなら「化物語」や「ほうかご百物語」「あなたの街の都市伝鬼!」のような、現代学園妖怪伝奇モノ。ひと昔前には結構あったんだけど最近見なくなったなぁ。
当初思っていたモノとは違うけど、「ワタリ」と呼ばれる所謂怪異の気味の悪さと恐ろしさは結構本格的でホラーテイスト強めの妖怪モノが好きな人には絶対刺さる。
ホラーはちょっと…と思ってても、主人公船次くんとヒロイン満原先輩は予想とは”ちょっと”違うかもしれないけど、まごうことなきオネショタだから!大丈夫!
個人的にはもちろん伝奇部分も楽しめたんだけど、キャラの描写にすっごく惹かれた…。
まずそもそも船次くんも満原先輩もころっころ表情が変わるし感情豊か!恥ずかしがってる表情でも色々あってみてて楽しい。
そんでもって一番はやっぱり終盤の満原先輩の苦悶の表情と嘆きがね…。
是非とも流行ってほしい作品。
●「マッチョグルメ」
表紙に騙されるな!これはグルメ漫画だ!
グルメ漫画だと思ったらグルメ漫画じゃない「あの胃」に対し、グルメ漫画じゃないと思ったら王道グルメ漫画の「マッチョグルメ」。わけがわからないよ…。
『チートデイ』
食事制限を続けると身体が低燃費モードになり基礎代謝が下がる。
これを防ぐために数週間に一度好きに飲食をする『騙す日』を設けるというダイエットテクニック
主人公天王寺美貴久は筋肉の化身―マッスルリバース―とも呼ばれるボディビルダー!
自身の肉体をより高みに仕上げるべく日々のトレーニングと食事制限には努力を惜しまない…!そんな彼が『チートデイ』で日々の抑圧から解放され、食を楽しむ漫画です。
もうコンセプトからしてパワーのかたまり!美味しいものを食べる美少女など登場しない!出てくるキャラの8割は筋肉もりもりマッチョマン!もうこれだけで読みたくなるでしょ…。
とはいえ、出てくるのは普通に実在のお店の料理で美味しそうで食べに行きたくなるし、ストイックなボディビルダーたちの戦い(?)は面白い。
全然詳細な内容は語ってないけど、落ち込んだときに読んだら元気と食欲が溢れてくる素晴らしい一冊でした。続編待ってます。
●「シネマこんぷれっくす!」
●「木根さんの1人でキネマ」
映画ネタコミック2作品!
なんで2作品一緒に紹介してるかって?どっちも映画好きメンドクセー!と端からみたら厄介な映画好き(狂気)たちの話だからだよ!
ちなみに
映画をよく知らない人にも面白おかしく丁寧に沼へ引きづりこもうとするのが「シネこん」
映画オタのめんどくささをギャグテイストに、元ネタ知ってる人に対して特攻が入るのが「木根さん」
映画ネタばかりとはいえ、どっちも普通にギャグで面白いよ!
まぁ、ひたすら映画ネタばっかりであまり映画観ない人にはどう映るのかわからないところですが、 ぶっちゃけ元ネタ知らなくてもキャラたちの熱意と勢いで十分楽しめる。
ギャグテイストとはいえ、何かに対して熱狂的に好きを貫いている人たちに羨ましさも感じますね。あるものが徹底的に好きでたまらない!というキャラたちをみるのは題材は何であれ面白い。
雑な感想で「本当に申し訳ない…」
そして何故この2作品はコラボしないのか。「AvP」みたいに「1人でキネマこんぷれっくす!」とかやればいいのに。
●「その恋はいちごのように」
今回のオチとしてあまりに綺麗すぎる…!
入院してしまった祖父の代わりに家業のいちご農家の手伝いをすることになった主人公サラ(女子大生)と、そんな彼女を手伝うこととになった杉浦実(33歳男)の年の差ラブストーリー。
二人のぴゅあっぴゅあなやり取りで乙女回路がショートするんすよ…。
主人公サラちゃんの純真さも良いんだけど、のりちゃん(33歳男性)のぴゅあっぷりが魅力的…!女性向けなんだから当たり前か…。
最初こそ強面オッサンな実さんだけど、いちご好き&甘いもの(いちご系)大好きだわ表情変わらんくせにイチイチ反応が初心!可愛すぎか!と思いきや、時折大人の男性らしい色気やギャップがあって卑怯なんすよ…。これで彼女ナシとか考えられん…。
ぶっちゃけ展開は王道中の王道だから特に語ることなしだけど、のりちゃん(33歳男)のかっこ可愛さを堪能する1冊でした。
●
結構まだ感想書いてない漫画も多いし、布教したいものも多いけどおっつかない!
ラノベも読んで漫画も読んでるとホントに時間足りないね。
まだ単行本は出てないけど、「あせとせっけん」はオススメ。
こちらも単行本出たら感想書きたいな。
天才王子の赤字国家再生術~そうだ、売国しよう~
「こんな国、さっさと売って隠居生活だ!」
完全に詰んでる国家の運営、無茶ブリされました!
「さすが殿下! これが狙いとは!」
「どこまでもついて参ります!」
「殿下!」「殿下!」「殿下!」「殿下!」
『(一体どうしてこうなった!?)』
資源も人材も兵力もない弱小国家を背負うことになった若き王子ウェイン。文武に秀で、臣下からの信頼も厚い彼にはひそかな願いがあった。
「国売ってトンズラしてえええ!」
そう、王子の本性は悠々自適の隠居生活を目論む売国奴だったのだ!
だが、大国に媚びを売ろうと外交すれば予期せず一方的に利益を手にし
隣国との戦争で程よく勝とうとすれば大勝利。名声は上がるが売国は遠のき、
臣民はイケイケ状態で退くに退けない!?天才王子による予想外だらけの弱小国家運営譚、開幕!
国家規模のアンジャッシュ
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二巻一気読み。面白かった!
資源無し!技術無し!の弱小国家の王子が、強大な敵国相手に知略で敵将を手玉に無双!…と思いきや、良くも悪くも思いがけないトラブルと勘違いにより状況が予想の斜め上の事態に。
ぶっちゃけ国家運営とか面倒なことは辞めて、さっさと隠居したい主人公ウェインにとっては、想定以上に事態が好転するもんだからマジ勘弁!と、国を取り巻く環境とか周囲の人は割とシリアスなのにコミカルで、随分笑わせてくれました。
部下がウェインを過大評価するのはまぁ、仕方ないとは言え、なんで敵が感化されて過大評価すんねんww
他にも、まさかそんなバカではないだろうと思ったヤツが想像を絶するバカだったり…。現実は想定外のことが起きるものだとは言え、程ほどに抑えたいウェインの本音に対する、世界がそれを許さない感がすごい。
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んでもって、腹心のニニムさんがまーた良いんだなぁこれが。
普段は有能で忠実な文官、私生活ではウェインのボケに突っ込む面倒見の良い相方、でもウェインからは自分の心臓だといわれる絶対的な信頼感があり、自信も例えウェインと結ばれなくても生涯をかけて彼を支え続ける覚悟を持つ。
この二人、恋愛的な関係性を越えたラブを感じるんですよねぇ…。過去話がとても気になる…。
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☆4つ!
コミカルで描かれてはいますが、ちゃんとウェインにもニニムにもシリアスな魅せ場はありますし、戦記ものとしてもそれなりに楽しめました。
魔弾の王と凍漣の雪姫
弓は臆病者の武器。祖国でそういわれ続けてきた少年は、少女の言葉によって己の進むべき道を見いだし、守るべきものを得た。二年後、ブリューヌ王国はジスタートと同盟を組み、大国ムオジネルと開戦する。ティグルは病に伏せた父ウルスに代わり、初めての戦場へと向かった。戦争は順調に進んでいるかのように見えたが、奇襲を受けブリューヌ軍は戦線崩壊する。敗足するティグルの部隊。その窮地を救ったのはオルミッツ公国の戦姫、リュドミラだった。二年ぶりの再会を喜ぶ二人。しかし、その行く手には新たなる戦いが待ち受けていた。戦乱の世を舞台に、伝説の時代より続く闇の勢力との戦いが、今はじまる!!
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別ヒロインルートで再開!?そんな手があったのか!!と驚きと少しの困惑がありましたが、予想以上に面白かった!…実は個人的にリュミドラ推しだったというのもあるけど…!
いやはや、こんな形で新シリーズというのもアリだなぁ、と感嘆しました。
(これまで推しヒロインが選ばれなかった作品を見つつ…)
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あれ?ティグルってもっと枯れているというか、無欲な感じじゃなかったっけ?と、割とミラに対して積極的だったり戦果を得ようと頑張ったり、良い意味で欲のある姿にギャップを感じつつ、民想いな部分だとか少しでも自分に出来ることを!と懸命な部分は変わらず、違和感なくすんなり読めました。
前シリーズを呼んだのは結構昔だから曖昧になってるけど、個々人の出会いや生き死にが変わっているだけで随分と別物になるものだなぁと驚き。
というか、個人的にはこっちの方が人間臭い気がして好き。最愛の人との約束を果たすために、逆境に立たされながらも地道に努力するタイプとか大好き。
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んでもって、当たり前だけど、当たり前だけどリュドミラことミラが可愛い。
気高くて勇ましい戦姫としての姿も良いんだけど、周りには平静を装っても、内心ティグルにゾッコンで、蔭でメッチャ惚気てて他の戦姫にからかわれて赤面とか、はわわごちそうさまですぅって感じ。
主人公が草食系から肉食系に変わるだけでこんなにもヒロインが引き立つのか…。
自分の国に来てしまえば今よりも楽に評価もされて一緒にいられるのに、それでも自身の力で自分に並び立つために努力する主人公、…とミラ目線で見たら少女漫画かって。
「俺は、君がほしいんだ」
「俺が、君と結ばれるためには、やはり大きな手柄が必要だ。ブリューヌ人もジスタート人も認めるしかない程の。それに、君が贔屓をしたと周りに思わせたくない。」
こんだけ愛されてりゃ嬉しいですわなぁ。
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☆4つ。前作を知ってても知らなくても十分楽しめると思います。
まぁ、おそらく今回は一人と結ばれるであろうから他の戦姫推しの人からするとそこらへんちょっとモニョるかもですが。
ただ、焼き直しではなく、ほぼ完全に別物というか、前作に引っ張られるものは少ないんじゃないかなぁとも思うんですよね。
冒頭で変な表現しちゃってますが、少なくとも私はIFモノだとか別ルートモノみたいな感覚は感じなかった。
第16回2018年上期好きなラノベを投票しよう!!
「好きラノ」に参加します!
「真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました」
真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました (角川スニーカー文庫)
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【18上期ラノベ投票/9784041068588】
感想
真の仲間じゃないと勇者パーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました - 晴読雨読日記
「好きって言えない彼女じゃダメですか?」
好きって言えない彼女じゃダメですか? 帆影さんはライトノベルを合理的に読みすぎる (角川スニーカー文庫)
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【18上期ラノベ投票/9784041070789】
感想
「ちょっぴり年上でも彼女にしてくれますか?」
ちょっぴり年上でも彼女にしてくれますか?~好きになったJKは27でした~ (GA文庫)
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【18上期ラノベ投票/9784797396850】
「モンスター娘のお医者さん(4)」
【18上期ラノベ投票/9784086312318】
感想
「出会ってひと突きで絶頂除霊!(2)」
【18上期ラノベ投票/9784094517255】
感想
「魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?(5)」
魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい? 5 (HJ文庫)
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【18上期ラノベ投票/9784798616780】
感想
魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?3 - 晴読雨読日記
「うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。(7)」
うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。 7 (HJ NOVELS)
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【18上期ラノベ投票/9784798616285】
感想
うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。 - 晴読雨読日記
「ミニチュア緒花は毒がある。」
【18上期ラノベ投票/9784048936699】
感想
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既に人気のシリーズとかはのっけてないんですが、もっと読んでたと思ったんだけどなぁ…?
そして感想もあんまり書けてないね。ちょくちょく書いていきます。
真の仲間じゃないと勇者パーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました
真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました (角川スニーカー文庫)
- 作者: ざっぽん,やすも
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さぁ、スローライフを始めよう。元・最強の英雄による自由気ままな新生活!
「君は真の仲間ではない――」最前線での戦いについていけなくなってしまった英雄・レッドは、仲間の賢者に戦力外を言い渡され勇者のパーティーから追い出されてしまう。「はぁ、あんときは辛かったなぁ」レッドが抜けた事で賢者達が大パニックになってるとは露知らず、当の本人は辺境の地で薬草屋を開業しようとワクワクした気分で過ごしていたのだが……「私もこのお店で働いていいかな? 住み込みで!」突如かつての仲間であるお姫様が自宅まで訪ねてきて!?
”のんびり楽しい薬屋経営”、”お姫様とのイチャイチャ生活”、報われなかった英雄による素晴らしき第2の人生がはじまる!
タイトル長過ぎィ!
(正式略称とかないんすかね)
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タイトルの割に()地道というか、突飛な設定ではなく描写で勝負する良作でした。
なろう系は良く知らんのですが「パーティー追放系」?らしく、敵と戦わず、辺境の田舎で地に足付いた生活を試みる元英雄の話。
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何が良いかって、話の節々から主人公レッドの人の好さが滲み出てるとこ。
初期こそ勇者パーティーの導き手だったけど全員のレベルが上がって「これからの戦いについていけないだろう…」まで言われてたレッドだけど、戦闘で十分役に立てないとわかっても面倒な外交だったり、辛い旅の中せめて食事くらいは楽しみをと料理頑張ったり、損な役割を進んで引き受けたりとか…。
自分に出来ること、仲間のためにできることを必死で実行してて、それでいて自己評価低いから泣けてくる…。現実にもこういう人いるよなー(´・ω・`)
そんでもって嫌味ったらしくないし、ウジウジせず「しょうがない」で済ませるからマジ報われてほしい。
レッド脱退後の勇者パーティーが案の定上手くいってないのは当然。いや俺はあいつを評価してたんだとか言っても遅いわボケと。そういう蔭で支えてくれている人にはちゃんと言葉と態度で感謝しないとだめやろー。
そんな可哀相なことばかり書いてますけど、本編はそんなレッドさんを肩書とかじゃなく人となりを理解してくれる人々に囲まれて報われるので安心。
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そんでもってヒロインのリットがいいんだなぁ、これが。
『ツン期の終わった元ツンデレ』
この最強属性を1巻から出せる作者が本当にすごいと思う。
言ってみれば最終進化系をしょっぱなから出すようなものですよこれは!
上記の通りレッドさんは報われてほしい属性持ちなんですが、最初はやっぱ要らない子扱いでしょぼくれてたんですよ。そこにツン期に散々フラグ建てまくったヒロイン(デレ期)が来るんだから、もうね、たまらんでしょう。
役に立てなかったと自己否定するレッドを片っ端から肯定しまくるリット。しかもそれを裏付ける出来事を二人で回想して、いちゃつくんだからなぁもう。
レッドが報われて良かったと思う安堵とリットの献身的で純真な想いがこの作品一番の魅力。
あ、永久就職先を見つけたリットさんの幸せモードが特に可愛すぎ。
「んふー、いただきます」
の破壊力よ…!
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☆4つ。癒される?報われる?感が心地よいね。
主人公サイドの裏で微妙に剣呑な雰囲気が漂ってるのが不安要素ですが、二人にはこのまま幸せ家族計画まで行ってほしい…。
好きって言えない彼女じゃダメですか?
「恋人同士、ですか? よく解りませんが、それでよければ」
僕の彼女、帆影歩は少し変わっている。無口で無表情が基本な上に「人=哺乳類=おっぱい大好き」と、平然とトンデモ理論を語ってくる。さらに僕の足の甲を愛撫してきたり、入浴中の裸の画像を送ってきたり――って帆影?当初は清純派文学少女だったよね!? おかげでなぜか妹の映が心配?してきて、言葉責めに合うようになったのですが!?(妹よ、お前は何なんだ)
そんな帆影も“普通彼女”を目指してはいるらしく、参考にしているのは……ら、ラノベらしい?(なんか期待しちゃう)
ラストの追い込みがずるい!超きゅんきゅんさせられた!
●
ガンガン変化球投げてくるからトリッキーなピッチャーだと思ったら、実は速球が一番得意だった、みたいなラブコメだった…。
割と中盤まで「あ、これは屁理屈というか論理飛躍ギャグモノなのね」とそれはそれで楽しんで読んでたんだけど、終盤から一気にぴゅあっぴゅあなラブコメで見事に意表を突かれましたわ…。
確かに片鱗はあった…!こいつ実は速球勝負の方が強いのでは…?と疑問に思ったけど、想定以上の剛速球(ラブコメ)をここぞ!というとこまで我慢しているとは思わなかった…!
とにかく、ヒロインの帆影さんがメッチャ変わってるけど不思議な魅力が素晴らしかった…。
●
ヒロインもさることながら、何だかんだ主人公もヤレヤレ系を臭わせつつも等身大の少年らしいさがあって好感持てた。
夢中になれるもの、真剣になれるものを友達が次々に見つけていって孤立感を感じてしまう、みたいな独白が特に青臭くて好き。変に捻って無くても等身大の悩みを抱えてる主人公には惹かれるなぁ。何だかんだ面倒見の良いお兄ちゃん属性持ちな魅力もあったこととか、本編開始時点でヒロインと付き合ってることとか、ラノベでは意外な展開が多いのもまた魅力的。
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とても良かった…。☆4つですわ。
「萌え」だとか「ハーレム」とかラノベの主要素をトンデモ理論で納得させようとする話は結構面白かったし、一応本題の妹とその友達のケンカとか、15,6歳の等身大の悩みといった青春臭さも楽しめた。
でも、ラストの剛速球はあったとはいえ、まだまだ帆影さんの掘り下げが見たいし、今後このカップルがどう進展していくのか気になる気になる。
っていうか、続刊が未定ってまじすか。世知辛いのじゃ…。布教せねば…!